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    anami_Ace

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    anami_Ace

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    東条くん視点のリバックス(リバのせっくす)を書こうとして挫折したやつ

    何度でも君に食べられたい 最初は、道端に生えたシロツメクサだった。君は蜂で、俺なんて君が求める蜜を持っている沢山のシロツメクサの中の1つに過ぎなかった。勿論他の蜂も俺の蜜を求めてくれたけど、俺は君が来てくれるのが1番嬉しかった。

     次はどこかの庭先にある南天の木だったかな。君はヒヨドリで、冬になるとやってきては俺を食べ尽くしていたね。君に沢山食べて欲しくて、毎年頑張って赤い実をつけてたんだよ。君が来るタイミングを見計らって実らせていたから、俺の持ち主もご近所さんも、実がついてもすぐに無くなっちゃうねって笑ってたっけ。

     アケビだったこともある。君はヤマネで、俺のことをとても美味しそうに食べてくれるから、好いてもらえてるんだなって嬉しくなっちゃった。俺に無我夢中になってる君はなんて甘美なんだろう。君に食べられることがすごく幸せなんだなって、この時に自覚したんだ。叶うことなら次も、そのまた次もずっとずっと、食べられたいなって思ってた。

     その願いは届いて、桃になったり蝶になったりして君に食べられ続けた。そのうち、植物や虫を何度か繰り返すと動物にばかりなるようになった。
     初めて動物になったのは鼠で、猫の君に食べられたときはちょっとだけ痛みと闘う必要があったけれど、君の視線に射抜かれてゾクゾクして、歓喜に震えた。君に俺として認識される喜びを知った。君に、俺のことを知ってほしい。

     だから、人間として君と同じ姿で、君に認知される日がくるなんて思っても見なかったから、最初は戸惑いを隠せなかった。昔は引っ込み思案だったよなと笑われるけど、君の視線にずっとドキドキしてた。
     それだけでも幸せなのに、恋人としても隣にいられることにもなるなんて。前世でそんなに徳は積んでないと思うんだけど、ありがとう神様。

     ただ、人間として生まれたから、流石に食べてだなんて言えなかった。俺も食べられるよりはずっと一緒にいたいっていう気持ちの方が強かった。
     それでも、壊物に触れるかのような優しいキスも好きだけど、たまに理性が飛んで貪るようにされるキスの方が好きで、やっぱり食べられたい気持ちは変わらないなって思った。
     優しいからあまり強くはしてくれないけど、首を噛まれながらするSEXは最高で、君に抱かれる現状に満足していたはずだった、のだけど。



     きっかけは、SEX中に信二の発した言葉だった。俺の中に挿入しながら「食ってるみたいだな」って言ったんだ。それが凄く衝撃で、衝動に耐えられなくなってしまった。

    「と、東条…?」

     ベッドに押し倒された信二が驚いた表情で俺を見上げる。いつもとは逆の状態に戸惑う信二を見下ろして唇を舐めた。

    「今日は、俺が抱くから」
    「…は!?」

     俺を押し退けようとして、それでも躊躇った手が宙を漂う。信二は「あー」とか「うー」とか唸っていたけれど、俺がじっと見つめて待っていると観念したかのように両手をベッドの上に広げた。俺が童貞だということを気にしていたから受け入れてくれると思っていたけど、想像通りの姿に笑みが溢れる。

     多分、信二があんなことを言わなければ抱こうとは思わなかったんだと思う。求められることに喜びを感じるタチだから。

     でも俺、俺を食べてほしいから、ごめんね
    信二。

     心の中でそっと謝って信二の服に手をかけた。
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