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    yumehitoyo2356

    ͛.*🍃かずはちゃんの設定&軌跡置き場
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    yumehitoyo2356

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    EVERLASTING。時系列。未来。
    一部作目。.*🍃誰落ちか分かるおはなし。

    事後、翌朝。 あつぴがだざの背中を押す話願いは変わらなかった。
    ────彼女に出逢ったあの日から。

    そばにいて、守りたい。

    たった、其れだけの事だった。


    【EVERLASTING】


    「…あれ?太宰さん…?」
    「やぁ、敦くん!!早いねえ」
    「…太宰さんが探偵社に一番乗りだなんて…明日は槍でも降ってくるのだろうか」

    これが私を見た敦くんの第一声だった。
    …よかった。これなら、彼女との間に何があったのかを悟られている様子は──────

    「なんて、冗談ですけどね」

    ──────否、矢張り、彼は気付いている。

    「先程、僕に電話が有りました。今日は会社を休むから、国木田さんに上手く伝えてくれって」

    敦くんに連絡が行くことは想定内だった。あの状況で、国木田くんに社を休むと連絡をする事は避けるだろうし、乱歩さんに話せば事の次第を全て知られてしまう。かといって、無断で仕事を休むなんて彼女に出来るわけが無い。

    「泣いてましたよ」
    「…だろうね」
    「矢っ張り、知ってるんですね」

    当然だ。彼女を泣かしたのは私なのだから。そう云えばいい。それで後は何時ものように道化を演じ、誤魔化せば──────

    「何の話だい?」

    …あれ?

    「一ついいですか?」
    「構わないよ」

    違う。私は、一体何を──────

    「太宰さん」

    彼に期待しているのだろうか。

    「僕は…女性と関係を持った事は無いですし、太宰さんが今迄どんな恋愛をして来たのかも分かりません。でも、貴方が彼女を…和葉さんを大切にして来た事は知っています。ずっと、ずっと…大切にして来たのに…どうして、傷付けたんですか?」
    「…随分と直球だね」
    「すみません。でも、納得が行かないんです!ずっとずっと御二人を近くで見てきたから…和葉さんが傷付く姿も……太宰さんが悲しむ姿も僕は見たくないんです!」

    虎を写し見に憑依させる彼の異能。それ故なのか。それとも、彼が元々持ち得ている才なのか。

    「御二人には沢山助けてもらいました。だから今度は、僕が助けたいんです」

    野生の勘。とはよく言ったものだ。
    其れは時々、心臓を抉る様な勘の鋭さを見せ

    「…残念だけど、手遅れだよ。彼女はもう私の元には「中也さんに譲るつもりですか?」…」

    私の痛い所を的確についてくる。

    「なんだい、敦くん。今日は随分と食らいついてくるね、君らしくないよ」
    「らしくないのは太宰さんですよ」

    全く引く様子の無い敦くんの様子に徐々に怒りが湧き上がる。私から理性を奪い取るには充分なくらいに。

    「君が私らしさを語るのはお門違いだ」
    「そうかもしれませんね」
    「敦くん。いくら君でもこれ以上、私達の関係に口を出すなら────引き金を引く」

    私は懐から拳銃を取り出し、敦くんの顬に押し付けた。

    「太宰さんは僕を傷つけたりしません」
    「忘れたのかい?私は元ポートマフィアの幹部、太宰治だ。その気になれば、君なんて簡単に殺せる」

    尤も、本当に引き金を引くつもりはない。ただ威圧するだけだ。気が動転して、口を滑らせてしまったが…これ以上彼に何かを期待したところで──────

    「引き金を引くのは、大切な人達をもう二度と喪わない為」

    敦くんが唐突に口にした言葉。
    其れを聴いた瞬間、銃を持つ右手に力が入らなくなった。

    「和葉さんが何時も口にしてる言葉です。彼女の云う大切な人…その中には太宰さんだって入ってるんです。」
    「…」

    敦くんは床に落ちた拳銃を静かに拾い、私に手渡すと、表情を崩し云った。

    「僕の知っている太宰さんなら、中也さんに譲るなんて…絶対に有り得ませんよ。だから───思う存分に喧嘩して、取り返してきてください!」

    嗚呼、私はきっと最初から──────

    「敦くん、国木田くんへの言い訳…二人分、頼めるかい?」
    「解りました。そのかわり一つお願いを聴いてください」
    「其れはなんだい?」

    ───彼(あつしくん)に背を押してもらいたかったのだろう。

    「お腹いっぱい茶漬けが食べたいです。今度は太宰さんのお金で」

    否、──────彼に命を救われたあの日から、何かを期待していたのかもしれない。

    「…考えておくよ」


    敦くんに背を向け、扉を開ける。
    社に着いた際は鉛の様に重かった扉。
    宛ら、私の心を表す様に重かった鉄の扉でさえ、木製の扉のように温かみのあるものと同様に感じた。


    願いは変わらなかった。
    彼女に出逢ったあの日から。
    そばにいて、守りたい。
    たった、其れだけの事だった。
    それなのに私は彼女を酷く傷つけた。

    だから私は手放す事を選んだ。
    もう二度と彼女を傷つけない様に。

    でも、それは彼女が一番望んでいない事だ。
    真逆、其れを敦くんに教えられるとはね…。

    「行ってらっしゃい!太宰さん!」

    敦くんに見送られ社を後にし、外に出て直ぐ携帯を開く。数分前に送られてきた電子文書。その内容を確認し、私はその場所へと歩を進めた。


    これからは涙も、痛みも
    私が引き受ける。
    何が起こっても、守る。
    だから、私を信じてほしい。


    ────そう、彼女(かずは)に伝えるために。
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