忘れないで、どうか 今日も今日とて動画を撮る、視聴者サマに喜んでもらうために。最近は前にも増して動画の伸びがいい。それはそうだ、ティーチにあんなことをさせて喜ぶのはごく1部だ、それにティーチはものじゃない、そして、俺の相棒だ、ならそれを支えるのが俺だろう?
動画でも日常的なものしか撮っていないから撮り終わっても特にティーチに変わり映えはない。終も動画を切った頃だろう、俺はティーチの所へ向かう。
「おつかれさん、ティーチ」
「あっ!コバヤシくん」
俺に気づいたティーチの側へ寄る。動画の時の無表情はなんだったのかとおもうほどにティーチはこちらを見て微笑んでいた。俺にしか見せない顔、それを見てしまう度柄にもなくドキッとしてしまう。
俺とティーチは付き合っている。まぁ、最近からだが、ティーチと付き合うことになったのは本当に俺もびっくりした、しかし俺もティーチが好きな事に変わりはなかった。
しかし、ティーチとは何となく恋人っぽいことしかしていない。だが俺はティーチより大人だ、やはりティーチの好きな事をやりたいことをやらせてやりたい。だからこそせっかく付き合えたのにらしいことができていないのだ。それを繰り返して日々を過ごす、しかしそれは突然終わりを迎えた。ティーチがまたやったのだ、また世界がリセットされる。あぁ、せっかく''また''付き合えたのに、''また''ティーチは忘れるのだ。
「やぁ、僕の名前はティーチくんだよーー」
また初めから始まった、いや俺はそれに関しては何も言わない、ティーチが世界をリセットしようが。しかしティーチ以外の記憶は保たれたままだ、だからこそ長年煮込まれたようにドロドロになった俺の恋心を抑えるのは本当に辛い。でも何も知らないティーチに俺の気持ちを一方的に押し付ける訳にはいかない、それだったら昔とまるっきり一緒ではないか、苦しむのは俺だけでいい。
でも少しだけわがままな事だけど考えるのはいいよな、どうか、どうか1度だけでもいいから、どうか、忘れないで欲しい