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    もののけたろう

    お世話になってます❗️もののけたろうです❗️🥰

    絵を描く際の記録、または備忘録として、この絵は当時何を思って描いたのか、どんな狙いがあったのか、などの記録を書き留めて行こうと思いました😃

    産まれたての子鹿のような僕の絵を好きで見ていただく方なんていらっしゃる事が不思議😂

    そのため、ここは基本自分の記録用となります🥰

    趣味で詩作とかもしてるのですが、これは全体公開は恥ずかしいので、DMしてくれれば、パスを個人的に教えます😌

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    もののけたろう

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    自己にとって、本当に大切なものは何かを考えたショートストーリーです。一人称視点での叙述トリックがあります。真理とは必ずしも主観によってもたらされるものではないです(それでは真理の在り処とは?)この主人公の行き着いた結論は果たして真理なのでしょうか。

    毛布の病朝のニュースでの占いでは

    自分の星座が最下位だった


    「大事なものを
    失くしてしまうかもしれないから
    気をつけろ」
    だそうだ


    だけど、占いは信じていないから
    あまり気にはしない

    こういうのは

    自分の都合が良い部分だけ
    真に受けておけばいい程度のものだ


    私は、歯磨きをする手を
    何気なく見た

    起きた時には気付かなかったが


    血が付いている


    何処か怪我しているみたいだ

    確かめるように自分の体に触れてみる
    腕、胴体、脚、
    特に変わった所は無い



    洗面所の鏡で自分を改めて見ると
    自分の胸元が真っ赤に染まっていた


    ちょうど心臓の辺りだ、痛みは無い

    来ていたシャツを恐る恐る脱ぐが
    どこも怪我していなかった

    意味が分からない

    自分じゃないとすれば
    誰かの血だろうか?


    リビングに戻ると

    ニュースキャスターが緊急ニュースを読み上げていた


    「ただ今入りましたニュースです。昨晩より都内で、原因不明の病が蔓延しているとの事です。」


    聞いていると

    どうやらこの病気に罹ると、寝ている間に
    毛布と魂が癒着してしまい


    引き剥がすと毛布に魂が引っ張られて
    意識を失ってしまうらしい


    どういう原理でそうなるのだろうか


    ニュースキャスターの声が続く

    毛布を再びかけると
    意識を取り戻すから

    命に別状はないそうだ





    一度毛布を剥がしてしまったら
    魂も剥がれる訳だから

    実際は命に別状があるのじゃないかと思う



    ただ
    自分はその病気ではないようだ

    毛布から身体が離れても
    意識はしっかりしている


    不思議な病気があるものだな

    と思いながら
    家を後にした





    外に出ると
    道行く人達が

    毛布に包まって歩いている



    もう春になりかけの季節…暑そうだ



    まだそんなに身近ではない病気なのかと
    思っていたのだけれど

    もう、すれ違うほとんどの人が
    毛布に包まっている




    普通にしてる自分の方が
    間違っているんじゃないかと思えるほどに




    電車に乗っても

    毛布を被った人たちが
    もごもごと動きながら座っていて

    別の世界の
    知らない生物に囲まれている感じだ



    ふわふわした感触が
    四方八方から
    迫ってくる感覚は悪くなかった



    途中、毛布を落としてしまった人が
    意識を失って倒れ込み
    毛布をかけ直されると
    何事も無かったように、再び目を覚ましていた



    あの人は今
    一度死んだのだろうか?


    毛布に包まっている人達を良く見てみると

    彼らの毛布の中に
    柔らかく光るものが動いている

    もしかしたら



    あれが魂なのかもしれないなと思った





    一日を終え、家に帰り着いた



    夕方のニュースが始まっているようだ

    どうやら初めて毛布の病で人が死んだそうだ

    毛布を失くしてしまったのだろうか?



    テロップが表示される


    そこには自分の名前が載っていた




    死んだのは私だ





    自分は勢いよく寝室に駆け込んだ
    部屋の明かりをつけ

    ベッドを確認する


    毛布には血が付いていた


    触っても何も感じない
    毛布の中に光は無かった

    それなら
    自分の魂はどこに行ったんだろうか


    私はここにいる
    病気にもなっていない
    この血はなんだろうか
    自分はここにいるはずなのに


    私は毛布を勢いよく自分に包んでみた
    でも何も起こらなかった

    何故なら自分には初めから意識があるからだ



    死んでない
    死んでない
    死んでない



    身体はたぶん暖かい気がする
    いや、気が動転していてよく分からない



    仮にもし、自分が死んでいるとしたら
    原因はなんだろうか



    洗濯機の中にあるシャツを思いだす

    血が付いていた
    毛布にも

    その染みの形は

    その染みの形はまるで


    握りこぶしくらいの何かを押し潰したようだった


    自分は




    自分の魂を潰したのかもしれない

    私が死んでいるとしたらそれは...




    テレビから
    自分を解剖するという声がした



    もし、私が死んでいるとしたら
    ここには



    つまり



    ここには体も無くて、魂も無い


    では

    今いる自分は
    なんなのだろう


    ここには一体
    自分の何が残っているのだろうか


    肉体でも魂でもない自分とは
    なんなのだろうか



    毛布に目を落とす

    血の染みはとっくに乾いていて
    黒ずんでいた


    完璧な死なら

    こんなことは起こり得ない


    完璧な死とは

    一体なんだ



    今朝の占いが頭をよぎる

    「大事なものを
    失くしてしまうかもしれないから
    気をつけろ」

    魂と体が剥がれる前に魂が潰れた事で、魂と体を失くした私は

    この先自分が誰からも認識されなかったとしても、自分が生きていると思う事にした

    こういうのは


    自分の都合が良い部分だけ
    真に受けておけばいい程度のものなんだ




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