二人の王と黒い毒これは、まだ僕がエルキュール師匠と一緒に働いてた頃の話 師匠の事務所には本棚があって、本は自由に読んでよかったんだけど、その中には異様に古いのが一冊あった 当時の僕は勿論興味を持ち、読んだ そこには詩みたいな文が書いてあった
二人の王がいた
剣で民を守る王
盾で民を守る王
民はみんな王に守られていた
空が黒くなった
昼間なのに夜になった
ずっと外にいるな
たちまち立っていられなくなる
毒だ 魂をさらう黒い毒
次から次へとさらわれていく
このままじゃいけない
二人の王は立ち向かって行った
だが毒は光を放った
何もかもが砕ける光
二人の王だけじゃ守りきれない
いやあきらめるものか
民が立ち上がった
二人の王に守られていた民たち
今度はこっちが守る番だと
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