きっとまた逢えるから 息子リュカとの別れの日、フレイアはゆっくりと彼に服を着せた。最愛の息子に触れられる時間が、ほんの少しでも長くあってほしかったのだ。今この手で触れているすべてのものが、数分後には遠く離れていってしまう。もう二度と会うことも叶わないかもしれない。そう思うと、心は引き裂かれんばかりに苦しく、気を抜けば涙で視界が覆われてしまうことはわかっていた。
リュカの細く小さな手を袖に通す時も、上着のくるみボタンを留める時も、今この瞬間を忘れぬよう、ひとつひとつ丁寧に扱った。まるで壊れやすい大切な宝物に触れるかのように、彼女は指先に神経を集中させる。リュカは同年代の子供よりも華奢で小柄であった。この環境下では彼に十分な栄養を与えられなかったのだ。もう5歳になるのに身長も100cmにも満たなかった。フレイアはそれを憂いていた。
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