侵入者と異端者『指令、天馬司、東雲彰人両名、A-26地区へ出動。暴れているアンドロイドの捕縛を命じる。』
待機室にて事務作業をしていた司と彰人は流れた放送に席を立つ。
インカムをつければリンの声がする。
『司くん、彰人くん!聞こえる?』
「ああ、聞こえている。」
「具体的な指令を聞いてもいいか、リン。」
着崩していた制服を整えながら、リンの説明を聞いた。
「つまり、オレらの仕事はあの組織に関係がありそうな、2体のアンドロイドの捕獲か?」
『うん、そう。今、データ送るね!』
カタカタと言う音と共に司と彰人の前に2体のアンドロイドのデータが送られてくる。
『コード名はこっちの紫髪のアンドロイドがintruder。』
司の前に黒マスク姿の男性型のアンドロイドの映像。
『ツートンカラーがmaverick。』
彰人の前にガスマスク姿の男性型のアンドロイドの映像。
「侵入者と異端者ね、穏やかじゃねぇな。」
「ただ、オレたちの組織が追っているサイバー犯罪組織に関係あるならこれは遂行せねばならん、行くぞ、彰人!」
司の言葉にへーへーと返事を返して、組織の入口へ。
『けど2人とも気を付けて、2体ともすっごく強いから!!』
「寧々たちの支援は?求められんのか?」
『寧々ちゃんとえむちゃんは別のお仕事中。だから頑張って!リンもやれるだけの支援はやるから!こっちにはカイトもいるし!』
それは心強いなと笑った司にそうか…?と彰人が首を傾げる。
この2体のアンドロイドとの出会いは司と彰人の一生の出会いになる事を2人はまだ知らないのであった。
◇
A-26地区に到着した司と彰人は自身の武器を手に取り、暴走している機械やアンドロイドたちを壊していく。
「切りがないな!!」
「壊しても壊しても増えてきやがる。maverickとintruderが居ねぇし、クソッ、何処に居やがんだよ!!」
「僕らを探しているのかい?」
何処からか知らない声がする。
その声は高めで柔らかい声だが機械じみておりノイズ交じりだ。
「彰人、上だ!!」
「あ?」
司の声に彰人が上を見れば、二つ影があるのが分かる。
月明かりに照らされて写し出された顔は先ほどの資料と同じ顔。
「intruderとmaverick!!」
「あんな高いとこに居たら、捕まえられねぇ!!」 「この暴走したアンドロイドたちを倒していたら逃げられる!!」
「僕たちに用があるみたいだけど、君たちは?」
やはり機械が喋っているような声。どうやらintruderの横に飛んでいるメカから聞こえているらしい。
「ルイさん。恐らく俺達の組織を追っているあの組織のようですよ。」
「本当かい?ああ、本当だ。ありがとう、トウヤくん。」
maverickの声もやはり機械じみているが、彼の声は恐らくガスマスクを通しているからだろう。
「君たちは僕たちを捕まえたいのだろう?ならば、此処は逃げさせて頂くよ。」
「行きましょう、ルイさん。今回の目標数は行っています。」
そのまま屋上の奥へと消えていく2体に待てと声を上げるも暴走したアンドロイド達に襲われて司と彰人は2体を取り逃がしてしまった。
『あらら、逃げられちゃったみたいだねぇ?』
「カイト!!」
「カイトさん何処行ったか、分かんねぇのかよ!」
『うーん、ごめんねぇ。分からないやー。』
やっぱ役に立たねぇと彰人は思ったが口には出さない。
「…くっ、それならば仕方あるまい…。一旦戻ろう、彰人。」
「チッ、しゃあねぇな…。」
と、その前にと司は壊したアンドロイドたちに目を閉じて手を合わせる。
「あんた何時もそれやるよな。」
「…彼らは暴走させられてしまっただけで何も悪くはないからな…。」
そんな司を見ている一つの影がある。
「…あの人間変わっているなぁ。単なる機械なのに。僕らと同じで使い捨てられるだけの、」
「ルイさん?」
intruder、通称ルイと呼ばれているアンドロイドの彼に少しの興味が湧く。
「何でもないよ、行こう、トウヤくん。」
maverick、通称トウヤと呼ばれているアンドロイドをルイは促した。
「ああ、そうだ、トウヤくんはこれからハニートラップに行かなくてはならないんじゃなかったかい?」
「そう言えば…。確か、今回は俺でしたね。ルイさん先に帰って頂けますか?」
「それは構わないけれど、無駄に殺しては駄目だよ?」
「ーーさんは情報が聞けたら殺せと言っていましたよ?」
「そう。なら仕方ないか。」
行ってきますと言うトウヤに手を振りルイは考える。
あの司と呼ばれていた人間。あの人間はどうして壊したアンドロイドたちに手を合わせていたのだろう。
不思議だ。あの人間に興味が湧いてきた。
これがルイのAI更新の兆しであった。
◇
身体を使い情報を引き出したトウヤが組織へと戻っている最中の事。
「ああ、これは不味いな。」
自身のバッテリー残量が少なくなっているらしく、眠くなってきている。このままでは自然にスリープモードになってしまう。
先ほどの男に無理に使われたからだろうか…。
「…ルイさんに連絡、を」
そうは思っても意識はどんどん薄くなり、トウヤの身体ががくりと傾く。
「おい!」
知らない声がしたのを最後にトウヤの意識は完全に落ちた。
定時後、彰人は偶然に先ほどのアンドロイド、maverickを見つけ目を丸くする。だがmaverickの身体が傾き、不味いと思った彰人はmaverickを受け止める。
(このまま組織に連れていってもいいんだが、流石に狡いよな…。)
「けどこのまま放置すんのも何か寝覚め悪ィし。一旦オレん家に連れて帰るか。」
髪を掻き乱す。ため息をついてmaverickを抱えて自宅へと思ったが…。
「重ェ!!」
流石アンドロイド。彼は重たく一人で運ぶにはなかなかに厳しい。
「あー、どうすっか…。司センパイに手伝って貰うか…。」
組織の人間はこぞって彼を捕まえようとするであろう。それならまだ司の方がいいと思った彰人は一旦maverickを抱えて地面に座る。
プライベート用のスマートフォンを取り出し、目当ての名前を探す。
名前を見つけて、その人物の名前をタップした。
スリーコールほどで電話に出てくれた相手に彰人は息をつく。
「すんません、センパイ。ちっと助けて欲しいんスけど。」
『む?何だ?』
maverickだとは話さず、アンドロイドが倒れていて運べないから手伝って欲しいと説明した。
頷いてくれた司が電話を切り、彰人はその場で司を待つ。
手持ち無沙汰の為、改めてmaverickの顔を観察してみる。目は閉じてしまっている為、目の色は分からないが、睫毛は長く、頬に影を落としている。
通った鼻筋と透明感のある雪のように白い肌と林檎のように赤い唇。先ほど見た時や映像で見た時はガスマスクをしていた為分からなかった。
「綺麗な顔はしてんな…。」
かつmaverickの皮膚は大変柔らかく、本当に人間に触れているかのようだ。
「アンドロイドだって思わねぇな、人間みてぇ…。」
今度はツートンの髪に触れてみる。
「サラサラ、スゲェな…。」
感心しきりの彰人のスマートフォンが鳴る。
相手は司だ。近くに来たらしい。
「はい。」
『近くまで来たが何処だ?』
「ああ、助かった、こっちッス。」
現在の自分の位置を司に教えれば司が顔を覗かせる。
「なっ!?」
ぎょっと目を丸くした司がまばっと叫びそうになった所で彰人は人差し指を立てて叫ぶな!!と怒鳴る。
「す、すまん。驚いてしまって…。」
意識して声を小さくした司が彰人の方へとやってくる。
「だが、何故maverickを抱えているのだ。」
「偶々、こいつがぶっ倒れるのを受け止めたんスよ。多分バッテリー切れでのスリープだとは思うんスけど、この状態のこいつを組織に連れていくの何かセコいなって思って。」
「まあ確かにな…。」
正攻法で捕まえるなら未だしも、現在のmaverickは不慮の事故でこうなっている訳だ。
場合によっては手段を問わない彰人も今回の件は急務ではなく、必ずしも遂行しなくてはならない訳でもない。
それに彰人は元々根は善人で、その彰人の相方である司は誰よりも真っ直ぐで小細工は嫌う、何より正攻法を求める。
それ故に彰人は組織に連れていく事を選ばず、司に頼んだのだ。
「だが、何処に運ぶんだ?」
「取り敢えずオレの家にと思ってるッス。」
「分かった。」
頷いた司がmaverickの腕を自身の肩に回したのを見て、彰人も反対側の腕を肩に回す。少しだけ引きずりながら彰人の家へとmaverickを運んだのだった。
彰人の自宅へ運んだ2人は取り敢えずこのアンドロイドの充電を選んだ。
「ソケット何処だ…?」
「首にもねぇし、腕?」
「腕にも無いな。」
ならと顔を見合わせた司と彰人はきっちり着こんである服の下の何処かだろう。
「そもそも彼の電源は何処だ…?一般的には首の後ろだろう?」
「けどねぇな。脱がすしかねぇ…?」
「だろうな…。」
何故か申し訳なく思いつつmaverickの服を脱がせて行く。
「うお、マジでアンドロイドなのか、こいつ…?」
「本当に人間の肌の様だな…?」
思わず顔を赤くした司と感心しきりの彰人。
だが触れるときちんと冷たく、彼が人間でない事を示している。
まるで人間の肌の様だと言う理由は後々分かるが、この時の司と彰人はまだ与り知らないのだった。
「あ、これ、か?」
ソケットらしき物が腰に有るのを見つけた司がその部分に触れる。
蓋が開きUSBがあるが分かった為、彰人はそこにUSBコードを差し込む。
それから数十分後、ガタンと彰人の部屋の窓が揺れ、起動音がしてmaverickが目を覚ますのは同時だった。
ガシャンと言う大きな音がして彰人と司が窓を見れば、そこに立っていたのは銃を持ったintruderだ。
「おや、君たちは…?」
「…此処、は…?」
「んなっ!?」
「はぁ!?、intruder!!テメェ、何してくれやがる!!」
ガスマスクをしていないため、生身のmaverickの声と先ほどと同様に傍に飛んでいる丸型の猫型のドローンらしき物から機械じみたintruderの声。
ぎょっと目を丸くした司と窓を壊されてキレる彰人の怒鳴り声。
「それはすまなかったね?トウヤくんのGPSが此処から動かなかったから可笑しいなと思ってね。もしかして僕らを売買しようとしている人間の仕業かと思ったもので。」
肩を竦めながら両手をあげ小馬鹿にしたように笑い、ちっとも悪びれないintruderに彰人は青筋を立てる。
「…ぁ、ルイさん、申し訳ありません。ご迷惑を…。」
「いや、それはいいのだけど。」
そのままズカズカと靴のまま入ってきたintruderに更に彰人は青筋を立てるがintruderは素知らぬ顔だ。
「おや?充電して貰っているのかい?」
「…ぇ、あ、本当ですね。」
きょとんとした顔をしたmaverickが自身の腰見れば確かにUSBが繋いである。
「君たち、僕らを捕まえるのでは無かったのかい?多分トウヤくんはバッテリー切れで倒れて居たのだろう?」
intruderが司の方を見て問い掛ける。思わず頷いた司に目を丸くしたintruderは更に問い掛ける。
「トウヤくんを捕まえるのであればバッテリー切れのまま君たちの組織に連れていく方が楽だろう?それなのに何故?」
「それは正攻法では無いだろう…。意識がない相手を連れて行くのは狡い。」
司の言葉に更に目を丸くしたintruderはしていたマスクをずらし口を開く。
「君は本当に変わっているね。先ほども君たちが壊したアンドロイドに手を合わせていたし。」
初めてスピーカー越しではない生の声で話したintruderはそのまま司に口付ける。
ぎょっと目を丸くした彰人に、司は顔を茹でダコの様に赤くした。
(や、柔らかい…?)
触れられた唇は思っているよりかなり柔らかい。
パッと離れたintruderを赤い顔のまま見つめて司はパクパクと口を開閉する。intruderは目を細めて口を開く。
「君に興味が湧いたよ。改めて初めまして僕はルイ。intruderは機体名だ。君は?」
「…司、天馬司だ。」
「司くん?そう、よろしくね。それで君は?」
intruderではなくルイは彰人の方を向く。
「東雲彰人。」
「彰人くんだね、トウヤくんを助けてくれてありがとう。窓の件はすまなかったね。トウヤくんを連れて帰るよ。」
動けるかとmaverick、いや恐らくトウヤが彼の名なのだろう。トウヤに聞くルイにトウヤは頷く。
「組織に着くまでは持つと思います。えっと、彰人と言っただろうか。助けてくれて感謝する。改めて俺はトウヤだ。maverickは機体名だ。この礼は何かで返そう。」
頭を下げたトウヤは恐らくアンドロイドらしく真面目な性格なのかも知れない。
コードを抜き、服を整えたトウヤが立ち上がる。窓からルイが飛び下りて、トウヤも後を追う。
窓に近づいた瞬間、一瞬トウヤの動きが固まった気がするが、そのまま窓から飛び下りた。
「いや、窓直していかねぇのかよ!!」
彰人の怒号が部屋に響いた。
それから司と彰人は出撃した地区で何度かルイとトウヤに会う事になるのだが、何時ももう一歩の所で逃げられてしまう。
だが少しずつ、自分達の組織が追っている組織についての全貌が見えだした。理由は毎度ルイとトウヤが何かしらヒントや内部情報を教えてくれるようになったからだ。
一度何故捕まってはくれないのに、教えてくれるのかと問えば、ルイは君たちに興味が湧いたからと言うし、トウヤは俺を助けてくれたからだと言う。
だが、彼らがしていることは所謂スパイだ。心配した司がこんなことをして大丈夫なのかと問うた。
『まあ良くはないんですが。』
『上は僕達を色んな意味で気に入っているからだろうね。』
含みのある言い方をするルイに引っ掛かりを覚えたのだが、深くは聞けなかった。
それから暫く、組織の捕縛に踏み出した。
組織の人間を一人一人と捕縛していくがルイとトウヤが何故か見つからず、司と彰人の嫌な予感が募っていく。
「何でこんな嫌な予感がしてんだよ…。」
「彰人もか。オレもだ。」
このもやもやの招待はある部屋に飛び込んだ時に分かった。
部屋の中央の実験台のような所で色んな線に繋がれて電源を落とされている様子のルイとトウヤの姿。
その奥のモニターの前では実験着の白衣を着ている男の姿がある。
モニターにはずらりと文字列と数列が並んでいる。何かのプログラムなのだろうが、あれを完成されたら不味いと言う事だけは感覚で分かる。
男を取り押さえれば男はやっと彰人と司の存在を認識したらしい。
「貴様らは、私のアンドロイドたちの記録映像で出てきた!!」
男は凄まじい形相で二人を睨んでくる。
「貴様らが私のアンドロイドたちに余計な事をした男たちか!!よくも!!」
男の言葉に面を食らった顔をした二人だったが男は続ける。
「貴様らが干渉したせいで私のアンドロイドたちが余計な事を学んだ!!だからAIをリセットせねばならんのだ!!」
男は指だけをキーボードに伸ばそうとしている。
リセットと言う言葉に更に嫌な予感がした二人は男を押さえ込む。
「リセットとはルイたちの記憶を消すつもりか!?させん!!」
「させっかよ!!」
男は一頻り暴れたが、司たちの援軍が到着した為に諦めたらしい。そのまま連れて行かれた。
先ほどの男を含め、トップや幹部など全員捕獲され、組織は壊滅したのだが…。
実験台に繋がれたままのルイとトウヤをどうにかしたい二人は顔を見合せる。
「この線は抜いていいのか…?」
「何かあったら怖ぇけど…。」
「だよなぁ…。」
どうするべきかと悩んでいると寧々とえむが部屋に入ってくる。
「司、東雲くん何してるの?」
「もう引き上げるってミクちゃんが言ってるよ~?」
寧々なら分からないだろうかとふと思った司は寧々に問い掛ける。
「なあ寧々。」
「何?」
「あの線を抜いていいかどうか分からないか…?」
「は?」
意味が分からないと言ったように眉をひそめた寧々は目を丸くした。
「intruderとmaverick?」
「ああ。ルイとトウヤと言うんだが。」
「それはどうでもいいけど…。」
きっぱりと言いきった寧々が続けて口を開く。
「何?司も東雲くんも連れていきたいの?」
訝しげな寧々に司も彰人も頷く。
「…他にも情報持っていないかとか調べる価値はあるか。元々捕獲対象だったし…。」
寧々がモニターに向かいザッと目を走らせる。
「これなら…。」
カタカタとキーボードを打った寧々がプログラミング画面を閉じる。そのままマウスを弄り、何かをクリックしてはいと一言。
「これで抜けるのか?」
「うん。」
頷いた寧々に礼を言い、繋がれていた線を外していく。
やはり電源を落とされているようだ。ルイとトウヤは目を覚まさない。
「電源何処だ…?」
「分からん。」
「そのまま連れて行く方がいいんじゃない?組織に任せた方がいいでしょ。万が一抵抗されても面倒だし。」
ルイもトウヤも抵抗しないと思うがと言う言葉は飲み込む。寧々の言う事は尤もだ。
司と彰人は二体とやり取りしている為、二体の性格を知っているが寧々やえむ、他の仲間たちは知らないのだから。
結局、応援を呼びそのまま二体を連れて帰った。
それから数日。
本部から司と彰人に連絡が入った。
「一通り彼らの記録媒体など、色々調べさせて貰ったよ。」
そう言うカイトの横の椅子にルイとトウヤが座っている。
「敵意がない事も分かったし、司くんと彰人くんがあの組織についての情報を何処から手に入れていたのかも分かったよ。彼らだったんだね?」
カイトが小首を傾げて問い掛けてきたので、2人は頷く。
「で、うちの組織の判断はルイくんとトウヤくんをうちに置くとの事なんだ。彼ら、戦えるしね。自立AIとココロのプログラムも発展途上だから、指導次第ではどんどん扱いやすくなってくれるだろうとね。」
「なるほど。」
頷いた彰人を確認後、カイトは続けた。
「そこで相談なんだけど、彼ら、管理者権限などはリセットさせて貰ったから今、主が居ない状態でね。上の考えはトウヤくんを彰人くん、ルイくんを司くん権限にしようとの事なんだ。どうだろう?」
「オレたちか?」
「ああ。ずっとやり取りしていたのは二人だし、ルイくんとトウヤくん本人たちも二人が権限者で構わないとの事だよ。」
司と彰人は顔を見合せる。
「分かった。ならそうしてくれて構わん。」
「オレもそれでいい。」
「そうかい!助かるよ!トウヤくん、ルイくん、二人が管理者になってくれるようだよ!じゃあ手続きをしようか!」
頷いた2体が二人の前に立つ。
「改めてよろしく頼む、彰人。」
「よろしくね、司くん。」
「ああ。」
「よろしく頼むぞ。」
そして何をするのかと思えば。
トウヤは彰人、ルイは司に口付けてきた。
彰人はぎょっと目を丸くして、司はいつかに口付けられた時と同様に顔を茹で蛸のように真っ赤に染めた。
「あ、そうそう、言い忘れていたんだけど、ルイくんとトウヤくん、2体ともセクサロイド機能つきだから!契約の仕方が特殊なんだよ!」
それを先に言えと彰人も司も同時に思ったが、機械的なルイとトウヤの声で新規管理者情報の登録を完了致しました。と話した。
ルイとトウヤの瞳に電源マークが浮かび、司と彰人の目に管理者マークが浮かび上がる。
「契約完了だ。」
「ふふ、こちらも完了だよ。」
淡々としているトウヤとトウヤより少しだ表情が豊かなルイが楽しそうに目を細める。
「良ければ下の世話も出来るからね、何時でも言ってくれ。」
「俺で良ければ使ってくれ。」
やはり目を細めたルイとコクンと頷いたトウヤ。
それを聞いた瞬間、司は真っ赤な顔をして大声で叫ぶ。
「結構だ!!!!」
対照的に彰人は満更でもなさそうで、悪くねぇな…。とボソッと呟いた事は余談になる。
だが、近い将来にはどちらのペアも最高のパートナーになる事をまだ与り知らないのであった。