抗う者達⑫「そういえば結局あれって誰だったんだろうねー」
おもむろにえべたんが言う。
「シウミの場所を指差していたっていう影か?」
コージーが問うた。
「そうそう。それがあったから、ウチ等も懸垂下降の準備してたわけだし」
それが功を奏して八木山の危機を救い、速やかに洞へと入ることができたのだ。
「ヤギヤマの親友ではなかったんだろう?」
「うん。写真も見せてもらったけど違った。第一次登山隊でもなかった」
「俺も他に思い当たる節はないしなぁ」
首をかしげる八木山。
「っていうか、そもそもあの七浦の夢な、罠だったんじゃないかと思ってるんだ」
とたんにべたんが批難する。
「え、なんでー! 七浦サン可哀想じゃん!」
「いや、考えてもみろ、狂気山脈だぞ? あれは志海を餌にして俺をおびき寄せようとしてたんじゃないかと思うんだ」
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