冬来たりなば「先生……ここ……ここですか?」
「……違うな」
「じゃあ、もっと……こっち?」
「そこも違う」
「どこがいいんですか……ここは?違う?」
「そうじゃない」
「もう、どこから入れれば良いのか……分かりません……」
「自分で探ってみろ」
「難しいです……ボク、初めてなのに……」
ロン・ベルクとノヴァが穏やかな小春日和に、ぴたりと寄り添って一生懸命に励んでいる。文字通り手取り足取り教えてもらっているはずなのだが、師の言うポイントがノヴァには一向に分からない。
「ヒントはやっただろう?」
「どれだったのかなぁ……」
テーブルの上の設計図にデッサン用の木炭を転がして、椅子の背もたれに身体を預けると、ノヴァは天を仰いだ。
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