小旅行 観光編 温泉街に到着すると左右に土産物や飲食店が立ち並ぶ通りが目に入る。おれ達はそば屋で早めに昼食を済ませて温泉街散策から始めることにした。
「すごい、紫陽花がたくさん咲いてますね」
ピンクに近い赤紫から濃い青まで色とりどりの紫陽花が道を彩る。
「お、足湯だって。足湯につかりながら紫陽花眺めるとか風情あるねえ」
どう?足湯入る?と言おうとしたおれの服を辻ちゃんがひっぱる。
足湯の反対側にはためく落ち着いた赤色ののぼりを指さした。
「犬飼先輩、温泉卵あります」
「キミさっきお蕎麦食べたでしょ……」
後で温泉まんじゅうくらい食べるつもりだったけど、辻ちゃんの美味しいものセンサーの方が優秀だったみたいだ。
「卵一個くらい満腹でも食べられますよ」
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