【migration】「やぁ、目が覚めたかい? 君も」
———君も?
知らない声がして、まだ霞む眼を左右に動かすと、左隣には知っている顔がある。
「いつまで寝てるつもりだ、セブン?」
「エイト⁈」
なんで、どうして? これは夢なのか? だって、おまえはあの時、目の前で———、と喚いたところで視界がぐるりと回転する。要するに、ベッドから落ちた。
即座に起き上がると、やれやれ、といった含み顔でエイトは笑っている。
「落ち着けよ、ベイビー。そんな調子だと、あいつらに会ったら身が保たないぞ」
「え、誰に…?」
「僕らのことかな」
目が覚めたときに聞こえたのと同じ声がして、びくりとする。勢いよく見遣った先には、くしゃくしゃの髪をブロンドに染めたやわらかな男がにこやかに、ぼさぼさの黒髪でなにやら暗い男が眉間に険しい皺を寄せて佇んでいた。
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