朝焼けの日の光を背にした貴方を見るのが怖い
今、目の前にいる貴方はあの時の貴方とは違うと分かっていてもどうしようもなく、怖いのだ。
相当情けない顔をしていたのだろう。
眉尻を下げ、困った様な顔をしながら大きな手でそっと頬を包み込まれる。
「そんな悲しそうな顔をしないでくれ、炭治郎。」
優しい声音で俺の名を呼ぶ。
あの時、あの時代に聞く事の出来なかった音。
あの時、触れる事の出来なかった体温が、今はこんなにもそばで感じられる。
「煉獄さん...」
今にも消え入りそうな声で愛しい人の名前を呼ぶ。
「なんだ?...竈門少年、」
貴方が名前を呼んでくれる
「っ...!煉獄さん...!煉獄さん...!!」
情けない顔を通り越して顔は涙でぐちゃぐちゃだ。
そんな俺を煉獄さんは包み込む様にギュッと抱きしめてくれる。
「俺はここにいる。君を置き去りにする様な真似は絶対にしない。あの時の様には...」
包み込まれていた腕に先程よりも強く力が込められる。
「はいっ...!はいっ...!!
貴方のそばに、居させてください...
心からお慕いしています、杏寿郎さん」
「俺も...ずっと君の隣を歩いていたい。
愛しているよ、炭治郎...」
朝焼けの眩しい光が、寄り添う二人をそっと優しく包み込む。