公光♂冒頭 光の戦士――もとい闇の戦士がクリスタリウムへと向かう道すがら、従者の門で不意に呼び止められた。生真面目そうな声に、相変わらずだなと微笑んで振り返る。
「ライナ! 調子はどう?」
灰がかった白髪のヴィエラ。第一世界風に言うとヴィース族。特徴的なピンと立った耳が、ただでさえ背の高い身長をより高く見せている。彼女の場合、常に背すじを伸ばした綺麗な姿勢を維持しているのもあるが。
こういう時、低身長……というか猫背ぎみなミコッテだと余計に身長差を感じるなあ、と内心で苦笑していたら、少し見上げた先の彼女が視線を落とした。
「……公が、休んでくださらないのです」
苦々しげに小さく言葉を落とした彼女の表情には、普段の凛々しい姿はなかった。直立しているはずの両耳が、心なしか萎れているように見える。
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