別れ話そのあと、何を続けていいのか。
頭にはたくさんの感情や、言葉が浮かぶけど、そのどれも言うべきではないと、一郎は思う。
もうこれ以上嫌われたくない。
二郎に捨てられたくない。
愛想をつかさないで。
どうしたら、何を言ったら、二郎は今まで通りそばにいてくれる…?
そんなこと、わかるわけない。
自分の頭でいくら考えたって。
もう、とっくに無理だったって、今まで通りなんていかないって、あの時から、ずっと…。
「…二郎は、どうしたい?」
「え…?ど…どうしたいって…何を…」
いきなり問われたその言葉に、二郎は混乱した。
この投げかけが、別れ話だとすぐに理解できたから。
一郎の気持ちが、そちらに傾いているんだと、はっきり感じ取ったから。
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