僕専門のシェフお互い何だかんだで忙しく、久々会った夜はそれは盛り上がった。
そしてその翌朝は盛り上がった分のダメージが僕の側にはどうしても残るので、次の朝はどうしてもいつもよりはお寝坊気味になってしまう。
そういう事をしている時の時間把握に関してはいつも把握はできていないが、一番ふわふわしていた時にふと見えたデジタル時計に表示されていた時刻は日付を超えていたのは見た。
今日はお休みなのをいい事に目が覚めても布団の中でもぞもぞしていると、いつもは一緒に寝ているはずの獣人がいない事に気づく。
かけ布団から少しだけ顔を出すと、ふわりといい匂いが漂ってくるのに気が付き、あぁ、朝食を作ってくれているんだな…と思ったがふと、あの人が朝食を、作る…?の思考が頭に浮かんだので心配6割、興味4割ぐらいの確率で寮長室に備え付けのミニキッチンまで向かう。
部屋の隅に設置されているミニキッチンに近づくとふわりとコンソメのいい香りが立ち込め、スーッと深呼吸して鼻腔に取り入れると気分が幸せでいっぱいになる。
「おはようございます。何を作ってらっしゃるのですか?」
「起きたのか、ってどんな格好してんだお前…」
「え、めんどくさいのでこれだけです」
少しだけ痛む腰を労わりながらその場にあるものを掴んで羽織ったのはレオナさんのベッドの上に散らばってたシーツだった。
肩から羽織っているので一応、隠れてはいるが際どいのは確かではある。
「襲われてぇのか?」
「今はそんな元気ないです。散々したでしょう…」
「はん。まだまだやれるぞ?」
「勘弁してください…、僕が壊れます…」
「もっと体力増やせ」
「これ以上増やそうとすると別の意味で増えるから嫌です!」
朝から言い合いしながらも出来上がったスープはとても美味しそうでさっきからくるくるとお腹が鳴っている。で、そのことに気が付いているのか可愛らしいお耳がピコピコと揺らいでいる。
「ほら、できたぞ」
「ありがとうございます。若干心配していましたがそういえば貴方マスターシェフの授業受けていましたね。感心しました」
「かなりだるかったがな。まぁ、受けれるもんは受けとくかとは思ったから受けただけだ」
「まぁ、受ける前は本当に逃げ出しそうでしたもんね。なんとか説得されて行っていましたが」
「単位くれねぇっていうからしゃあなしだ」
ベッドのそばにあるテーブルに運び、一口食べると優しい味が口内に広がる。
「………美味しいです!」
「そりゃよかったな。食ったらまた寝るぞ」
「いいですね。体力回復させます」
「回復したらまたするか」
「…回復のレベルにもよります」
「寝たら十分だろ」
「まぁ、そうですね」
レオナさん作のスープを食べ終わった頃には先程よりも日が高くなっていてサバナクロー独特の太陽の強さを感じる。腹が満たされたら身体は正直で、さっきまで寝ていたというのにまた睡魔が襲ってくる。
部屋のブラインドを降ろしてベッドに降り注いでいる太陽光を遮断すると心地よい温さだけが残るので二人してダイブすると、温かさが身体に伝わってきたのかあっという間にレオナさんが睡魔に落ちていた。
申し訳程度のシーツを身体の上にかけ、自分自身も同じように睡魔には逆らわずに夢の中へ落ちていった。