『あなただけがいないまち』「どうしたの?すごくうなされてたよ?悪い夢でもみた?」
───夢を見ていた。同好会のみんなの夢。
私だけがいない部室で歩夢ちゃん達がマネージャーの女の子を囲んで、楽しそうに笑う夢。
『歩夢ちゃん…!私はここにいるよっ!歩夢ちゃん!』
近くで必死に叫んでも私の声はみんなには届かない。マネージャーの子と親しげに話す歩夢ちゃんは、心なしかいつもより楽しそうで、そんなみんなの姿を見ていると、まるで自分はこの世界に必要ないって言われてるみたいで、それが不安で、悲しくて───
「そっか。怖くなっちゃったんだね。大丈夫だよ。私はずっとそばにいるよ。」
そう言って私の頭を撫でる歩夢ちゃんの声は、いつもよりも優しい。
「ありがとう。歩夢ちゃん…」
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