雷とダンス 大気は不安定で、夕方からの雷雨に注意。
天気予報の言ったとおり、先程から激しい雨がガラス窓を打ちつけている。五条は窓にへばりついて、暗い空を見上げていた。
「あ、光った」
空が一瞬明るくなり、続けてガラガラと鈍い音がする。
「稲妻が見えたよ」
五条が言う。
「綺麗だね」
「あなた、雷好きですよね」
ソファに座ったまま七海は言った。振り返った五条の目は暗い空の下でもきらきらと輝き、口元は楽しそうに弧を描いていた。
「うん。何かワクワクする」
稲妻が見たくてつい見ちゃうんだよねえ、言いかけた側から空はピカリと光り、
「あ。くそ、見逃した」
五条は悔しそうにまた窓の方を向く。
「…無下限って、雷に対してはどうなんです?」
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