※えっちじゃないです雪を踏む。
落ち葉が凍りつきパリパリと小気味よい音が鳴る。
白い息を吐きながら立香は空を見上げた。
見事な紅葉が染める世界は今や見えず、時たま枯葉が落ちるだけ。
はやく、はやく逃げなければ
私を閉じ込めた彼は今どこにいるのだろう
音を立てないように気をつけて先へ進むが、
降り積もる雪に足跡をつけずに移動することは不可能だ。
鳥か、或いは綺麗な刎を持つ妖精であれば可能かもしれないが。
「立香、僕と一緒に来てくれるよね?」
あの日、オベロンは珍しく白い装いのまま立香を抱きしめそう言った。
不穏な言葉に眉を顰め彼から離れようと身を捩るがサーヴァントの力はかくやことそ、ミシミシと骨が軋む音が聞こえるだけだった。
そして
「まさか閉じ込められるなんて…」
2084