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    GinokoR18

    @GinokoR18

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    GinokoR18

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    ぐだちゃんを森に閉じ込めて子作りに励む妖精王の導入

    ※えっちじゃないです雪を踏む。
    落ち葉が凍りつきパリパリと小気味よい音が鳴る。
    白い息を吐きながら立香は空を見上げた。
    見事な紅葉が染める世界は今や見えず、時たま枯葉が落ちるだけ。

    はやく、はやく逃げなければ
    私を閉じ込めた彼は今どこにいるのだろう

    音を立てないように気をつけて先へ進むが、
    降り積もる雪に足跡をつけずに移動することは不可能だ。
    鳥か、或いは綺麗な刎を持つ妖精であれば可能かもしれないが。

    「立香、僕と一緒に来てくれるよね?」
    あの日、オベロンは珍しく白い装いのまま立香を抱きしめそう言った。
    不穏な言葉に眉を顰め彼から離れようと身を捩るがサーヴァントの力はかくやことそ、ミシミシと骨が軋む音が聞こえるだけだった。
    そして

    「まさか閉じ込められるなんて…」
    気がついた時には秋の森に立っていた。
    尤も、この森は季節が巡り虫妖精もいない。
    かつて訪れたあの森とは違うようだったが、
    秋の内に出来ることはすべてしたが、いくら歩いても森の中。
    出口のない空間に思えてならないのだ。

    「あれ」
    ふと、何かに触れたような気がして顔を上げると立香の腕に白い蚕蛾がしがみついていた。
    森に迷い込んでから初めて見た生命、かつての友人の姿に立香は目を輝かせる。
    「ブランカ!」
    蚕蛾はフワフワと触覚を揺らした。
    そっと手ですくい取り、頬を寄せるように覗き込めば黒くて大きな目が立香を見つめてくる。
    「きみがいればここから出られるかも…
    なにか知らないかな、この森のこと」

    一人きりではなくなったからか、立香は神経質にそろそろと歩くのをすっぱりやめ豪快に雪を踏み締めた。
    ザクザク音を立てながら白い世界を進むと、不思議なことに今までとは違う道が現れる。

    この道だ、立香は歓喜した。
    きっとこの小さな友人が導いてくれたのだ。
    「ありがとうブランカ」
    これでカルデアに帰れる。

    お腹も空かないし眠気もないが、ひとりで雪の中を彷徨うのは存外気が滅入る。
    さっさとこんな場所からは抜け出したい。

    「ブランカ?」
    しかし蚕蛾は、フラフラと立ち上がると立香から逸れて飛びだした。
    必死に刎をばたつかせ、立香の袖を小さな口でひっぱる。
    「どうしたの、そっちに行きたいの?
    この道は間違えだってこと?」
    あまりにも必死なその様子に立香は怪訝に思いながら、蚕蛾を抱き寄せて立ち止まった。
    正直なところ、今までと違う様子の道に興味は湧くが、彼女が止めるのならばよくない選択なのかもしれない。
    忠告に従って引くべきだろう。

    「わかったよブランカ。君の言う通りにする」
    そう声をかけると、小さな口は立香の手にかじりつくことをやめた。

    再び一人と一匹は歩き出す。
    ザクザク、ザクザク雪を踏み締め代わり映えのしない白銀の世界を進む。



    暫く歩き続けた時だった。
    ぽんと肩を叩かれる。
    あまりの驚きに心臓が縮み上がった。

    思わず蚕蛾を握り潰した後、我に返って恐る恐る手のひらを覗き込むが彼女はいなかった。
    「やあ、ありがとうブランカ。
    君のおかげで助かったよ」
    目の前の男の肩に乗り移っていたのだ。
    「オベロン…」
    「待たせてごめんね、立香。
    もう大丈夫、外の世界へ通じる道がやっと潰えた。これで僕達は永遠に二人きりだ」

    「どういうこと?ブランカを返して!」
    震えながら後退る。
    ここまで助けてくれた存在に縋るように立香は蚕蛾を見つめた。
    しかしなにがおかしいのか、オベロンはくすくすと笑う。
    「彼女を気に入ったの?
    ちょっと癪だけど遺しておいても構わないよ」
    「ここはどこなの、早く説明して!」
    「そう慌てないで、大丈夫だよ。
    やっとわかったんだ、君がよく僕に説いていた愛ってやつ?あれがね。」
    腰に手を回され、頬に冷たい唇が押し付けられた。
    顔を逸らすがオベロンは立香を離すまいと片腕に力を込める。
    「心細いなら子供を作ろう、口淋しいならお菓子を作ったっていい。
    お茶会にはブランカも呼ぼう、君が出ていかないように彼女だって必死だったんだ。
    少しはご褒美をあげなきゃね。」
    褒めて、と言わんばかりに蚕蛾はオベロンに頭を擦りつけている。
    立香は信じられないものを見る目でそれを見ていた。

    「さあブランカ、わかるね?
    これからは僕達の時間なんだ。
    春になったらまた呼んであげよう」
    オベロンは肩にしがみついていた蚕蛾を手のひらを押し付け握り潰した。
    ぐしゃり、立香の吐息だけが響く世界に不快な音が染み渡った。
    「ブランカ…!」
    「僕といるのにまだ彼女が気になるの?
    妬けるなあ…」
    オベロンは肌蹴た首元に啄むようなキスを送り、骨張った指ですりすりと立香の股を擦った。
    「中に入れて、僕をあたためておくれよ立香
    いいよね?ねえ、いいだろう?」
    獣のように荒い息が耳元に掠める。
    立香はただ、震えながら男の情欲を受け止めるだけだった。




    ここは四季が巡る秋の森
    一人の少女と妖精の王様が住む愛の森
    綺麗な王様は少女のことが大好き。
    ふたりは毎日幸せに暮らしましたとさ。

    めでたしめでたし
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