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    tensuramachida

    @tensuramachida
    転スラ/今のところほぼヴェルリム

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    tensuramachida

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    ヴェルリム/だだだっと書いて唐突に終わる/ちょっとヴェルリム飢えが満足/シュークリームたべたい/

    シュークリムル「ほい。これ、ヴェルドラの分のシュークリーム」
    あとオレンジジュースな、って言いながら渡すと、俺はそのヴェルドラの隣に座った。
    手の中には砂糖をたっぷりまぶした固めの生地のシュークリーム。中にはたっぷりとカスタードクリームが入ってるけれど、胃が凭れるほど甘くはない。ちょうどいい甘さの奇跡のバランスで作られたシュークリームは、俺もヴェルドラもお気に入りだ。その証拠に俺が渡したシュークリームを受け取った瞬間、ヴェルドラが満面の笑顔になった。
    「うむ! ……ところでリムルよ。なぜ我らは店舗に入らぬのだ?」
    「それはな、ヴェルドラ。お前には大人しく行列に並ぶという行為が出来るとは、全く、これっぽっちも思っていないからだ」
    しみじみと呟いて、俺たちが腰掛けているベンチのすぐ後ろをチラ見する。イングラシア名物、吉田さんの喫茶店は
    相変わらずの盛況具合で、ちょっと見ただけでも五、六組は並んでいるのが見える。まあ並ぶだけならまだしも、だ。このヴェルドラが喫茶店に入って、ただ大人しく座って茶を飲む、みたいな事はできないだろうと思ってのことだった。
    「むう。我はリムルがこのシュークリームを買う間、きちんと大人しくしておっただろう?」
    「うーん。……まあ、そうだな」
    俺が吉田さんに頼んでテイクアウトして貰っていた間、ヴェルドラがだらしなく脚を組んで座っているのを見ているからなんとも言えない。まあ誰だって図体のでかい、浅黒い肌の金髪金眼した男が、スイーツ店のベンチにだらしなく腰掛けていたら怖くて近寄れないだろう。現に吉田さんもちょっとビビりながら見てたしな……。ま、まあ俺の連れだって事でフォローはしておいたんだけどさ。なんかその時、吉田さんが何か言いたげな顔で俺を見ていたのは解せないが。
    「まあいい。こうしてリムルと二人、シュークリムルを食べれるのだからな」
    「お、おう……」
    「うむ。店に入れなんだのはちょっと不満であるが、まあたまにはこういうのも悪くはない」
    ニカッと笑うヴェルドラが眩しい、のと、同時に、なんか胸の中がこそばゆくなった。……んんん。これはあれだ。ヴェルドラがいつもとは違う、ちょっと大人びた黒シャツに黒ズボンという格好だから。そう、だからちょっとだけかっこよく見えたから、なんだろうけど。
    「……なんか、ちょっと恥ずかしいぞ、そのセリフ」
    「そうか?」
    ヴェルドラは俺の羞恥など気にならなかったらしい。結構な大きさのシュークリームを親指と中指で摘まみあげ、そのまま大口をあけて豪快に食べ始めた。うーん、やっぱいつものヴェルドラだな。
    隣があまりにも普段通りだから、俺もようやく肩の力をぬいてシュークリームをひとくち。
    「うっま……」
    口のなかでとろりと溶けていくカスタードが最高にうまい! ぱりぱりした固めの皮との相性が抜群で、一個食べきる頃にはまだ欲しいってなるくらい。
    「うあ~、やっぱ吉田さんのシュークリーム最高だ~」
    今回は内緒でヴェルドラと来ちゃったから、お土産にするわけにはいかないけれどさ。吉田さんに頼み込んで、今度はたくさん買って帰って、みんなで食べるのも悪くはない。なんて思って、満足しながらヴェルドラを見る。
    「なあ、ヴェルドラ……っ、ン……ぅ?」
    と、突然ヴェルドラの顔が近づいてきたな、と思った瞬間にだ。その唇が俺のと重なって──あまつさえ柔らかくてあったかいものの感触がして、だ。
    「きゃああああああ……っ!!」
    「わっ! わっ! わっっ!!?」
    「ひえ……っ!!? みちゃった、みちゃったよ……っ!」
    そして、俺たちの後ろでなんか悲鳴のような声が次々上がるのは、も、もしかして気のせいではなく……!?
    俺たちが座るベンチの向こう、おそらく吉田さんの喫茶店に並んでいる行列からざわめきが絶えないのは、もしかしなくても俺とヴェルドラの、なんかこう、このキスシーンもどきのせいってこと、だよな……!?
    つーか、後ろばかりじゃなくて、さっきから四方八方から降り注ぐあらゆる視線が痛すぎる!
    「ン……って、ヴェ、ヴェルドラ……。一体なん……!? なに!?」
    「リムルの口端に零れておったので、ついな。……うむ。やはり、リムルと一緒に食べるとよりうまい」
    言って、ヴェルドラは舌先でペロリと自身の口を拭った。後ろの騒ぎが自分のせいとは露にも思っていない、堂々とした態度だ。俺なんか恥ずかしさのあまり、全身が燃えるように熱いんだけど!
    「おま、お前さ、ここは俺の庵じゃなくて、イングラシア! よその国なんだけど!? 恥ずかしいだろうが!」
    「うむ……?」
    金髪金眼のガタイのいい美丈夫は、俺の言葉が理解できないとばかりに小首を傾げた。それで、一体なにを思ったのか、グイッと俺の腰を引き寄せてより強く密着すると、だ。周りの歓声がまたちょっと大きくなって、でもそのうちひそひそ話になっていく。
    「なるほど。魔国ではないから、普段とは違うことができるということだな!」
    「そういうことじゃなく……!」
    「今日は普段とは違い、我一人でスライムのリムルを独占できる日ということであろう?」
    耳元で邪竜が囁く。くっそ。この邪竜、一体どこでこんな仕草を覚えてきたんだ。腰を引き寄せられて包み込まれると、異国の地の匂いから安心できるヴェルドラの匂いしかしなくなって、本当に困るんだけどさ……。
    「そうであろう、リムルよ」
    「まあ、そういう、ことなのかも」
    「クァハハハ! ならばよい。我と二人でのんびり楽しもうではないか」
    口調は荒々しいがスライムの扱いに長けた邪竜は、オレンジジュースを一口すすると俺の腕を引っ張り上げる。「……なんか丸め込まれてる気がする」
    「なにを言うか。本当にいやならば、我と連れだったりはしないであろう?」
    イングラシアの完璧に舗装された道を腰を抱き寄せたまま歩くので、どうにも歩きづらい。端から見たらどういう風にみられるのかなんて、気にしてる余裕もなくて。それで、なんていうか、なんていうか。
    「確かにそうなんだけど……、なんっていうか、さぁ!?」
    「クァハハハハ!」
    「だから、なんっかさぁ! 丸め込まれてる気がするんだけど!」
    まあ、ヴェルドラの機嫌がとてもいいから、いいんだけど!
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