MT(エンプティ)「なんでもないよ。本当に...」
ジョルトは元々、「傀儡讐合IV」内のキャラクターだった。
彼は幼い頃から そこはかとない虚無感と違和感が常にあり、感情が希薄な子供であった。
人間関係や、アイドルや、ペットなどの、命のあるものを どうしてもエンタメだと思ってしまっていて、それが周りでは普通ではないと気づけず
話がどこか食い違うことで 疎外感もあった。
8歳の頃にメタフィクション作品を初めて読んで、核心をつかれたような感覚になったことで
自分も他人もキャラクターであり、この世界はフィクションであるという 独特な哲学で考えるようになった。
あまり派手にアクションを起こせば
上位の存在につまみ出されでもするかもしれないと危惧して、
その思想は 誰にも晒すことはなかった。
だが、ジョルトは正解を知りたかった。
この理論は正しいのか 知りたかった。
彼は探究心が強く、謎がずっと残っていることは もやもやして許せなかった。
しかし その考えがもし間違っていたら
この思想は 命を踏みにじるようなものであり
到底許されるものではないんじゃないか と思い
やめようとしたことがあったが
根底にある虚無感を取り除くことはできず
謎を解明したい気持ちと
自分の無情さに失望する気持ちに挟まれ
それに悩んでもいた。
某日、そのモヤモヤに耐えきれずに、衝動的に当時の友人にこれを相談した。
自分の独創的な哲学も含めて、全てを話したのである。
「狂ってる!!」
だがそれを理解できなかった友人はジョルトを強く否定した。その後言い合いになり、絶交することに。
そのことすら特に惜しいとは思っておらず、ただ空を見つめていた。
その時、彼の世界に 裂け目を通じて凪咲が訪れた。
多種族世界とはいえ、生で初めて見た"人間"に
彼は久しぶりにワクワクした。
凪咲が出てきた裂け目に興味を持ち
ジョルトは入りたいと言った。
「それ 入らせてくれない?」
「なんじゃと!?いや、構わぬぞ!だが...わし以外が入れば何が起こるかわからんのだ!」
「確かめたいことがある、ここに入れば話が進展するかもしれない」
「おい わらべよ、覚悟はできとるのか?」
「自分の命はどうでもいい、空っぽだし、例え死んでも そういうシナリオの物語だったんだろう」
「それに ここはキメラで大混乱を起こしてるし、こんなとこよりは未知の場所に行きたい」
「おお?なんじゃ、変わっとるな...まあそれならついてくるんじゃ!きっと楽しいぞ」
ジョルトは凪咲と一緒に裂け目の先へ歩みを進めた。
その先は綺麗な宇宙空間のようだった。
そこに一筋の光の橋がかけられていて、彼らはそこを歩いている。
ジョルトはそこを気に入ったという。
すると凪咲から先程"空っぽ"、"そういうシナリオ"と言っていたことが
どういう意図なのかを尋ねられ、
彼はすべてを説明する。
その話を聞いて凪咲は、旅の過程で同じような話を聞いたことがあり、案内したい場所があると言った。
「よ!」
連れて行かれた場所には、真っ白で何もない世界があった。
その中心に タコのような、宇宙人のような生き物がおり
それはTACCOと名乗った。
TACCOは強く警告をした上で、
ジョルトにこう語りかけた。
この世界はTACCOの作ったフィクションの世界であり、自由意志が存在せず
ほとんど全てがTACCOによって書かれたシナリオである
そしてTACCOによって作られているものは全てマルチバースとしてこの宇宙...及び、創像時空に存在している
....と。
そしてやはりジョルトは絶望するどころか
彼にしては珍しいほど喜んだ。
なぜなら自分の理論があっていて、
自分の虚無感に罪悪感を抱えることはもう必要なくなったからだ。
そんな彼にTACCOはこんな提案をした。
「凪咲と共に様々な世界や時空を観光してみないか」というものだ。
だが、それには条件付き。
1つ、TACCOの想像を出力する手伝いをすること
2つ、それぞれの世界の管理と、調整ができる能力を与えるので、TACCOの世界の管理を 指示通りに手伝うこと(ただし能力の使用にはTACCOの許可が必要)
3つ、この創像空間を通る者が稀にいるため、門番として それらを検閲してほしいこと。
つまり副管理者として働くことになる代わりに観光していいということなのだが、
ジョルトはこの創像世界たちを気に入り、心が踊ったため
この条件下でも快く受け入れた。
「じゃ、これからよろしくね」
それから月日が経ち...
「おかえり、あっちの世界はどうだった?」
「面白かったのじゃ!あれはなんじゃ?すごく強そうなやつがおったぞ!」
「順調だし、このままやってけば良いものができそうだよ」
「へ〜、じゃあまた構想考えとくね」
「きっと最高なもんが生まれるぞぉ!!ジョルとタコのおかげじゃ!」
「そうだそうだ、ジョルトのおかげ」
「...僕も完成が楽しみだよ、ありがとう
凪咲とTACCO」
どっちが誰の仕事?
妄想で頭の中に色々構築しておく→タコ
仮の設定として、あるいは確定した設定としてメモしておく→ジョル