🔸冒頭の、父親が亡くなり三日月宗近・歌仙兼定・てんえど組から刀剣男士や審神者などの在り方を教えてもらった時のシーン。
(場所・藤の本丸内、応接間)
千景の腹の音で歌仙が夕餉を作り席を外す。
三日月は散歩すると言って水心子がこの状況で勝手に出歩いて良いのか?と訊きながら本当に去っていった三日月を見て呆然としていると、清麿が千景に君はどうする?と訊く。
千景はまだ此処で考えたい、と答え、清麿はじゃあ僕も散歩してこよう。と言って水心子も誘う。大典太は千景の横で俺も残る。とだけ答える。清麿も短い了承の言葉を言い水心子を連れてその場を離れる。
2人きりでソファの端と端に座る千景と大典太。
千景は頭の中でいま教えられたこと、父親が背負ってきていたもの、母親と思っていた人が妖狐だったこと、色々なことを考えている時にハッと気付いてバッと横に座る大典太を見て「ごめん」と謝る。
それに対して大典太が「なぜ謝る?」と訊く。千景はよく昔から「マイペース」と言われること、思考に集中し過ぎて場の空気を気まずくさせがちな事が多いから、と話す。
それに対して大典太は「別に俺は迷惑ではない」「むしろ思考を纏めるのに、丁度いい」と答え、千景がキョトンとする。
大典太が続けて「俺とアンタはどうにも自分のやり方、マイペースじゃないと実力を発揮できない体質(タチ)のようだ」「普通の人間なら全く気が合わない者同士に思うかもしれないが、実際のところ俺もアンタも、互いのペースを維持する事によってそれぞれの思考を纏め直す時間を確保できている」「つまりは、ある種の『気が合う』状態を成立させている」「なら、気に病む必要も謝る必要もない」と話し、また沈黙する。
千景は「…そ、うか…」と呟いて、自分もまた黙る。大典太にそう言われ、初めて誰かに合わせずに自分のペースで思考する時間を得られる事に何処か安心感を得る千景が、明日からミッチリ鍛錬だな。と話していた三日月の言葉を思い出し「…鍛錬、大変なのかな…」と呟くが、大典太はそれに答えない。そこで千景はこの男は決してただ無視したわけではなく、答えて欲しいわけじゃない独り言だと理解した上で答えなかったと分かり、彼を少し信頼した。
その安心感のせいか、再び千景の腹が小さく鳴り慌てて腹を抑える。逆に静かなせいで数人で話していた先ほどより響いたように思えたが、それに対しても大典太は反応をしない事にホッとする。
が、次の瞬間自分のではない大きな腹の音がしてえ?と言いながら思わず大典太を見る千景。大典太も自身の腹を見て少し目を見開いていた。
少し間を空けてから千景が「…いま、自分でも驚いただろ?」と大典太に問いかけると「…ああ」と答えた。
(シーンが移る)