雪解けの蜂蜜酒 凍てついた氷の中、指一つ動かせないまま閉じ込められている。こんな胸糞悪い氷の檻はとっとと抜け出したいのに、いくら魔力を込めても到底破れそうにない。
(……クソッ、あのジジイ共覚えてろよ)
いくら悪態を付いたところで、あの双子が満足するまでブラッドリーはこの氷に閉じ込められたままなのだろう。
(今度は何年間だ?面倒臭えことになったな)
分厚い氷越しにぼんやりと見える外に視線を向けると、明るい日の光が降り注いでいた。
(放置されてるのは冬の国のど真ん中じゃねえな。春の国に近い場所か?)
それなら尚更、面倒臭いことになった。春の国の民は滅多に冬の国に近付かない。外部からの干渉は期待できそうにない。
ブラッドリーが不貞腐れて昼寝でもしようかと思っていると、こちらに近付いて来る魔力の気配を感じた。
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