ふりかえる話ふりかえる話
カーテンを開けることすら億劫で、片付けることも億劫で、起き上がる事も億劫。外から車が行き交う音や鳥の声や何やらと聞こえてくるから、多分日が昇った頃なんだと思う。ずっと眠れずにいて正しい時間なんて分からない。部屋の時計はとうの昔に動きを停めている。唯一の確認方法は充電していないスマートフォンだけ。誰にも連絡をしないし誰も俺に連絡をしないから特に問題は無いのだ。情報を頭に入れるにも頭がまともに働かないから理解もできないので殊更必要性がない。今日も適当にベッドの上で過ごすだけの生活を送る。
「全く、いつまでだらけてるんだい。ほら、陽の光を浴びないときのこでも生えちゃうよ。カーテン開けるくらいなら簡単だよ。」
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