【美しいまま】世界で一番美しいミイラの話を聞いた
幼くして病気で死んでしまった娘
悲しんだ両親は彼女を永遠に残しておきたいと願ったらしい
とある国のとある地下墓地
小さな棺の中で彼女は眠る
近くに立ちその顔を覗き込む
夢を見るように伏せられた瞼、長い金色の睫毛、額に散る緩く癖を持った髪
彼女は美しいままそこにいた
息をするのも忘れるほどに
彼女を愛する者の想いが、彼女に朽ちない美しさを与えていた
うつくしい、と同時に、羨ましいと思った
彼、竈/門/炭/治/郎にも美しいままに、その時の姿のままに残しておきたい存在があったから
「....煉/獄さん」
100数十年経った今でも、彼と分かたれた喪失感は当時のまま少年の心に巣食っていた