1年2組の不適合者※現パロ
※オマージュにつき1章の一部分をそのまま似せて書いておりますご注意ください
「アノスちゃーん!!!お帰りなさい!!!!」
「母さん、ただいま」
アノスが玄関のドアを開けると、勢いよく母親のイザベラが抱きついてきた。
「海外の学校はどうだった?」
「ああ、おかげで充実した毎日だったよ」
アノスは今年、15歳になった。昨年の中学2年生の冬から1年間アメリカへ留学をして、高校の入学試験を期に日本へ帰国した。
久々の息子との再会にイザベラは感極まる。
「身長もとても大きくなったわねぇ……。お母さんはとーっても嬉しいわ!!!」
涙を拭う仕草をしながら、イザベラはアノスを見上げた。1年という月日はあっという間だったが、久々の家族との再会にアノスも感慨深くなる。
しみじみとしているアノスの背後からぬるっと手が伸びてきて、肩にポンと手が置かれる。
「よお、アノス。元気だったか?」
父親のグスタだ。
「ああ、元気だよ。父さん」
アノスは父親ににこりと微笑む。
「まあ、玄関で立ち話もあれだし、家の中でゆっくりと話すか」
「ふ、そうだな」
家族三人お互いに微笑みながらリビングへと入っていった。
入学試験当日──
「ふぁ……、眠いな……」
アノスは大きくあくびをする。夜更かししたわけではないが、1年間の海外生活のおかげで時差ボケがまだ直っていなかった。
「アノスちゃん、大丈夫?あまり眠れなかった?」
「ア、アノス、あれだ、あれだぞ、平常心で受けるんだぞ!」
どういうわけかアノスは家族一緒に入試会場の学校へ向かっていた。常識的に考えて入試会場へ親がついていく必要はないのだが、心配だと聞く耳を持たずわざわざ学校までついてくることになった。
周りは同じように入試へと向かう学生たちへ溢れかえっている。しかし誰も親がついてきている人物などいない。アノスは少々気恥ずかしさを感じていた。
かといって親の気持ちも無碍にしたくもなかった。
「父さん、俺は大丈夫だ。落ちついてくれ」
「本当か?俺が昔に入試を受けた時はカッコつけすぎて、面接なんて空回りしすぎてな……」
「大丈夫よー!アノスちゃんはアメリカでもしっかり過ごしてたんだから。絶対合格するわ!」
グスタが何をどうカッコつけたのか気になるが、突っ込まないようにする。
そうこうしているうちにもう学校の正門前まで着いてしまった。
「じゃあ、行ってくる。送ってくれてありがとう」
「おう!頑張れよアノス!」
「アノスちゃん、頑張ってね!」
両親のからの激励をもらい、アノスはフッと和かな笑みを浮かべ、踵を返し正門をくぐる。
「がんばれー!アノスーっ!がんばれー!」
「アノスちゃん、がんばれっ〜!がんばれっ〜!」
10mほど歩いたところで両親からなんとも大きな声援を受ける。ここまでしなくても大丈夫ではあるが、彼らの愛情は存外に悪くない。
「ファイトー!ミーシャッ!ファイトーッ!!!」
両親の声援に被せるように中年男性の大きな声が聞こえ、思わずアノスは振り返る。
自身の数歩後ろにプラチナブロンドの綺麗な髪をした少女が、少し俯いて歩いていた。きっと同じように気恥ずかしいのだろう。
少女はアノスの存在に気付いたのか、俯いてた顔をふと上げる。可愛らしく端正な顔立ちをしていて、ブルーの大きな瞳が印象的に映った。
「フッ、お互いに難儀な親を持ってしまったな」
「……ん、……でも彼は親じゃない」
「なに?そうか、すまなかった。まあ、難儀ではあるがここまで着いてきてくれる良い人には変わりない」
アノスは彼女の親かと思っていたが、どうやら違っていたようだ。確かに顔をよく見るとあまり似ていなかった。
知り合いの叔父、もしくはスーツ姿の格好から家庭教師かバトラーかもしれない。
寡黙な少女はそれ以降口を閉ざす。
数秒並んで歩いたところで、アノスは互いに名前を知らないことを気づいた。
「俺はアノスだ。堀梃戸アノスだ。」
「……ミーシャ。……私は根黒ミーシャ。」
「良い名前だ。よろしくな、ミーシャ」
「……ん……」
無表情だったミーシャの顔が綻びる。
軽い自己紹介を終えて校舎の入り口へ入ろうとしたところ、浅黒い肌に白く短髪の男がアノスの目の前に現れた。
「おいおい、親同伴でこの名門間央高校の入試に来るたぁ、いつから子供の遊び場になったんだ?」
ふむ、誰だこいつは?とアノスは疑問に思う。
見るからに不良といった風貌ではあるが、名門であるこの『私立間央高校』を受けるぐらいであれば学力・地位などがある程度必要であった。
とはいえいちいちこの男を気にする必要も無し。アノスは脇目も振らず校舎へと入ろうした。
「あ、おい!ちょっと待て貴様っ!!」
「何の用だ」
「何の用だと……!?この俺に挨拶も無しに門を潜るなんてなぁ……!」
「ふむ、おはよう。ではな」
アノスは挨拶を交わして再び校舎へ入ろうとする。
「貴様ぁ……!待てといっているだろっ!」
「なんだ、挨拶はしただろう」
小うるさい男であるなとアノスは思った。
先ほどから全く訳のわからない男は、何用で自身に突っかかっているのだろうかと。
知り合いでもないし、今までに会った記憶すらもなかった。
「悪いな、あまりもたもたしていると試験に間に合わなくなる。あとにしてくれ」
「なん……だと……?この礼儀知らずめ!院戸ゼペスを知っての侮辱かぁ!!??」
「院戸……?誰だ。聞いたこのもないな。有名なのか?」
アノスは横にいるミーシャへ質問をする。
「……院戸……、元財閥で今はインドゥナショナルホールディングスの御曹司……」
「ああ、あの会社か。」
社会学・経済学の勉強で歴代の財閥についてアノスはある程度学んでいるものの、暫く海外に居たせいでパッと日本の財閥が出てこなかった。
しかし試験に出るほどの規模の会社ではない。
そんな院戸家のいち人間が自身に何用か皆目見当もつかなかった。
「おい、貴様。謝るなら今のうちだぞ。」
ゼペスはアノスを睨みつけて拳を握る。今にも飛び出して殴りかかりそうな雰囲気である。
「命乞いするなら今のうちだぞ?」
「ほう、殴りたいのなら殴れ、雑魚と遊ぶ暇などないのだがな」
「な……っ、貴様ぁ!!!!!」
アノスの言葉がゼペスの逆鱗に触れて、勢いよく殴りかかる。
だかそこにアノスの姿がなかった。
──消えた?とゼペスが思った瞬間、鳩尾に勢いよくボディーブローが入る。
「ぐああああああああああああああ!!!!!」
ゼペスは何が起こったのかわからなかった。
殴りかかる瞬間までいたはずなのに、いつの間にかアノスが視界から外れて自身の下にいたのだ。
「き、貴様ぁ……いったい、何を……」
「何を、だと?お前の動きなどスローにしか見えなかったのだがな」
「ス、スローだと……!?」
「全く、試験直前だというのに、随分と血の気が多いやつだな」
やれやれとアノスは呆れる。ゼペスは体の使い方からなっていなかった。構える姿勢も攻撃する体勢も隙が多すぎる。
これではどこでも攻撃してくださいというようなものであった。よくこれで自身をを殴ろうと思ったものだ。
「貴様ぁ……、これで済むと思うなよっ!」
「ふむ、まだやるつもりか?」
アノスは周りを見渡す。いつの間にか人が囲むように寄ってきてしまっていた。
これ以上騒ぎを起こすとよくはない。アノスはゼペスに近づき耳打ちした。
するとゼペスは急に真っ青な顔になり、わっと立ち上がってその場から一目散に逃げていく。
「待たせて悪い、行くか。」
アノスはミーシャに声をかけて、再び校舎へ向かって歩き出した。
ミーシャは不思議そうな顔をしてアノスに声をかける。
「……アノス」
「なんだ?」
「もしかして……とっても強い?」
アノスは思わず笑い声が出る。
確かに自身は強いかもしれない。アメリカに行く前も行った後も、自身へ向かってくる人間に負けたことはなかった。
番を張っていたわけではないが、何故か舎弟がついていた。
とはいえ、だ。
「否定はしないが。この場合は適切じゃないな」
ミーシャは首を傾げてアノスを見つめる。
「……どういうこと?」
「あいつがあまりにも弱すぎるんだ」
二人は間央学院の試験会場へと入っていった。
<ここから感想>
前クールも本当によかった。シンレノ最高。レイミサイチャイチャしやがって!でも好き!
今クールも見たいシーンが多くて楽しみすぎる。(既に出てるシーンでも見れて嬉しい限りで号泣している)
ナーヤちゃんビジュアルビックボーナス確定ありがとう。エルナヤはかどる。
彼は…どこまで出るだろうか…とドキドキしながらあと2000回ぐらいはOPを視聴したいです。