微熱の説く 最近姿を見せるようになった、白と黒の入り混じった頭髪をした男は、見たことのないものを魔道具として扱っている。
ミスラの腕より少し短いくらいの長さの、一部が曲がった棒とでも言えばいいのだろうか。まだ接近したことはないが、遠目からでも、その棒に施された装飾は胸が躍るものだった。 彼がそれを敵に向け、先端から小さな球を高速で排出すると、勢いと回転のついた球は相手の身体を突き破る。
あれがなんなのか知りたいと思っているものの、彼はミスラの前に姿を現さない。生き延びるために賢明な判断だと思うが、ミスラとしては不満だった。
そんなことを思いつつ、忘れたりしつつを繰り返して日々を過ごすうち、北の国にはまた冬が訪れていた。
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