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    【フェルヒュー 】腕相撲ガルグマク修道院の教団騎士たちと士官学校の生徒たちが使う訓練場では、節ごとに武術大会が開かれていた。その節には格闘大会が開かれ、魔法兵種や騎馬兵種の人はただ大会を観戦するしかなかった。決勝戦まで勝ち取ったカスパルは溢れるエネルギーを振り切れず、試合が終わった後も練習場に残り、他の種目の大会を自ら設けで力比べをした。

    一方で試合が終わるのを待っていたフェルディナントは、退屈を解消するためにそこに入り込んだ。筋力で勝負しようとすれば、重装兵の人たちには絶対勝てないが、技術と要領、そして知恵を使えば競ってみる価値があると思った。そうしてフェルディナントは腕相撲に参加することになった。しかし、重装兵種の人たちは、体格や重量が違うという理由でフェルディナントを相手にする事を避けた。その時カスパールの目についたのが偶然ヒューベルトだった。彼の目にはフェルディナントとヒューベルトならお互い相手になれるとおもったのだ。ヒューベルトは汗臭い生徒たちにつかまって、フェルディナントが座っている腕相撲のためによういした机前の椅子に座らせた。くだらないことで騒ぎ立てていると思い、席からそっと立ち上がろうとしたヒューベルトの手をフェルディナントが握った。

    「どこに行くんだ!」

    「放せて下さい」

    「ふん、逃げるのか?」

    「おぉ~っ」

    辺りから揶揄する声が聞こえた。ヒューベルトはここから静かに抜け出すことはできないだろうと気づいて、再び椅子に座った。この暑苦しい空気の所為か、フェルディナントの目は闘志に燃えていた。それはヒューベルトの口からため息が出るほど気まずい目つきだった。

    まもなくフェルディナント対ヒューベルトの腕相撲の試合の開始を知らせる歓声が生徒たちの口から出たが、一回目の勝負は水臭いほど早く終わってしまった。次も、その次も。 フェルディナントの完璧な勝利だった。フェルディナントは席から立ち上がり、意気揚々とポーズを取った。

    「はははは!フェルディナント・フォン·エーギルの勝利だ! どうだヒューベルト!」

    「お見事でした。それで、とても嬉しそうに見えますな」

    「うむ!もちろん!嬉れしいとも!」

    ヒューベルトはただこの騒ぎから早く抜け出したかった。腕相撲には興味もなく、勝負の結果もどうでもよかった。ただ、目の前のフェルディナントの得意がる姿を見たら苛々した。

    「はぁ…こんなに大きな功績を残したのに、今ここで一体何をしていらっしゃるのでしょうか。早く先生にも、セイロス教にも、アンヴァルにも、エーギル家にも知らせてなくてはいけないものです」

    「な、何?」

    「皆が充分記念すべきである勝利の記録ではないでしょうか。貴殿の墓碑にでも残してみてはいかがでしょうか?フェルディナント·フォン·エーギル、某年某月某日、腕相撲でヒューベルト·フォン·ベストラに勝つ、と」

    「ヒュ、ヒューベルト!!!!」

    からかわれたことをやっと気づいたフェルディナントの顔は赤くなったり青くなったりして、ヒューベルトに向かって怒りを露にした。ヒューベルトは人込みの中を悠々と通り抜けながら、気に入らないフェルディナントの気分を損ねたことに満足感を得た。

    後日、フェルディナントの墓碑には数多くの功績と共にヒューベルトとの腕相撲で勝利した事実が記されているのはよく知られることになった。そしてそのフェルディナントの墓の隣にはヒューベルトの墓が仲良く並んでいて、二人の間の逸話は長らく後代の人々に伝わるようになった。
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