36と彩蛋の間1──────────────────
こぼれ落ちる手を掴み取る。
目の前の白髪の男は、今まで見送ってきた大切な人々と同く真っ白な顔をしていた。
──────騙された。
なぜ気付かなかったのか、怒りに震える前にやらなくてはいけないことがある。
恐らく全てが嘘ではないはずだ。確か、全て破壊されてから再構築されると…ならば、目の前の男も先程の自分と似たような状態のはずではないか?それであれば同じ様してに気を送れば戻ってくるのでは?
手を握りしめ、気を送る。送りながら考えた。このまま気を送り続ければ、恐らく自分が事切れる。ふたりで逝くのならそれも悪くはないが、立場が入れ代わっただけでうっかり師弟だけ残ってみろ…後始末が大変そうだ。
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