にびいろと、はちみつ ずび、とベッドの上で鼻をすすった一彩は、それが自身の体調のせいだけではないことを改めて実感してしまい、今度はじんわりと視界を滲ませてしまうはめになった。
体調を崩したのだ。昨日の昼頃からどうも調子が良くない気がしていたのだけれど、いやまさか、気のせいだと重いからだを押して午後の仕事をやり切ったころには、きっともう熱が上がりはじめていたのだろう。どうしてちゃんと言わないの! と怒る藍良たちにタクシーに放り込まれて。兄と暮らすマンションの自室へ辿り着いて、どうにかヨボヨボと着替えを済ませたところでちから尽きた一彩が目を覚ましたのは、もぐり込めた覚えのないふとんのなかだった。ふと、違和感を覚えて額に手を伸ばせばぶよぶよしたものが貼られている。知っている、これは熱を冷ますためのシートだ。ということは、つまり。
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