Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    miyomimin

    @miyomimin

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 31

    miyomimin

    ☆quiet follow

    座学忘羨。彼の言葉には裏があるのです。

    素直になれない話「君なんか好きじゃない!」

     そう叫ばれ、魏無羨は驚いた。
     発したのは藍忘機。清流の水辺のように常に冷静でしとやか
    で他人に感情を見せない男が、感情を露わにして怒っていた。

    「お、おいおい……冗談だろ……。そんなに怒らなくたっ
    て……」
    「君がそんなことを言うからだ!」

     彼の怒りは収まらない。何を言っても火に油を注いだが如く
    怒りを見せている。これは困ったもんだ。どうしていいか分か
    らず魏無羨は頭をかいた。

     みんな俺のことが好きなんだ。お前だって本当は俺のこと
    好きなんだろ?

     そう言っただけなのに。それはそんなに怒る事だったのだ
    ろうか。ちょっとからかって、うっとおしそうに否定するあ
    いつを見てやろうと思っただけなのに。それなのにどうして
    ここまで怒ると言うのだ。

    「なぁ、藍湛。そんなに怒るなよ。俺はただ冗談でそう聞い
    ただけだろ? なんでそんなに怒るんだ。そこに他意なんて
    ないんだよ。それとも本当に……」

     そこまで言って藍忘機の毛が逆立つのを見た。感じるのは
    殺意にも似た怒り。今にもその力を爆発させようとしている
    かのように顔を歪める藍忘機にこれはいかんと魏無羨は入っ
    てきた時に使った窓枠へとに足を掛けた。

    「ちぇ、ただの冗談なのに……」
    「失せろ!」
    「はいはい、分かった。もう行くよ。じゃあな!」

     怒る藍忘機を背に窓から飛び降りた魏無羨は後ろを振り返
    ることなく去っていく。その姿が余計藍忘機の苛立たせた。

     去りゆく背中を見送りながら藍忘機は手を硬く握りしめる。

    「君なんか……好きじゃない……」

     口からこぼれた言葉は走り去る背に届く事無く消えた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👍👍👍👍😭😭😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator