【A0】心の熱心の熱
「今日のシチューもおいしいね、茨」
「……おくちにあってよかったです!」
いまのは素の茨の笑顔。
そのほんとうに喜んだ笑顔が好きだった。茨は大体演技をしていて、[[rb:仮面 > いつわり]]をつけて人とかかわっている。私だってそう。傍にいることによって、だんだん演技ではないところの茨を知るようになって、それが特別なことだって気づき始めた。それが愛おしかった。云ってしまえば仮面と鎧を外すことがなくなる気がして、伝えずにいる。
私は茨が好きなのだけれど、でもきっとこれは云ってはいけないことなのだろう。
茨は私の為になんだってした。それは自分の野望の為の兵器の運用で、私を快適に操作するためのオイルのようなものなのだろう。そういう契約だった。
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