胎告【中編】 例えば、かの有名な狼男と人間の女性から産まれた二人の狼人間のアニメ映画。その映画では二人の狼人間が狼として生きるべきなのか人間として生きるべきなのか姉弟の葛藤が描写されている。結局弟は狼として、姉は人間として生きることを選んだ。これは『二人』と言うのも憚られる結末だ。
映画を圭介さんと見た時、圭介さんが隣で涙ぐんでいるのを感じていた。圭介さん、ああいう動物系の感動話に弱いから。
オレは、というと。「結局半端者は半端者のままではいられない」という現実を見せつけられていた。
姉弟は選択を強いられた。自分たちの母親ではなく、世間に、世界に、どちらか選ぶように強いられたのだ。
映画では姉弟が自分達でそれぞれの人生を決めているようにも見えるが、世界が彼らの違いを受け入れる『覚悟』をしていたのなら、もっと違う選択をしていたのではないか。少なくともオレはそう思っていた。あれは己として生きるのを許される為の選択だったと。
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