"I'm Sorry"(🚽+🧹)……現在、私は緩やかに首を絞められている。
真夜中の自室の天井を隠すように、私の視界は小さなロボットの顔を映す。
白黒の反転した瞳で、無感情に。
「………」
クリナ。
ああそうだろう、お前は私を許さない。
ただ"色が気に入らない"という、あまりにくだらん理由で長いこと森に置いてけぼりにしてしまった私を許す筈がない。
何も言わずに、クリナはその手にまた少し力を込めた。
ひゅ、と喉が鳴る。
延命スーツを着ようとも、外部からの損傷で私は容易く死ぬのだ。
結局は人間だから。
ゆっくりと右腕を動かして、クリナの頭を撫でる。
酸素が少ないからか、私の手は微かに震えていた。
「…………ナンデ」
ぽつり、とクリナが溢す。
「ナンデ抵抗シナイノ、ネエ」
きゅうう、と首を絞める。
「ドウシテ」
いよいよ意識が朦朧としてきた。
「ドウシテ ネエ、ドウシテ───」
それはな、クリナ。
私が私を許せないからだよ。
突然、クリナが手を首から離した。
大量に空気を吸い込んで、思わず噎せてしまう。
見れば、彼女は涙をぼろぼろと溢していた。
「バカ、バカ、抵抗シテヨ
博士ガ死ンジャッタラ、ワタシ、今度コソヒトリボッチニナッチャウノニ……」
「けほ、……っ、クリナ、」
私の胸元に顔を埋めて、くすんくすんと泣く、小さなロボットの背を撫でる。
「ワタシ、タダ、"ゴメンナサイ"ッテ言ッテクレタラ、十分ナノニ……グスッ、」
「……そう、だな。
ああ、ちゃんと言えていなかった」
すまなかったね、クリナ。
もう置いていかんから、どうか泣き止んでおくれ。
………
……
…
(翌日、何事もなかったかのように過ごしたが
首についた小さな絞首の痕が、なんだか愛おしかった)
〆