Just y[O]u and me私はふと思った。
全ての生命が欲望にとらわれているのなら、もう一人の私にも、イヴだけの欲望があるのではないか、と。
「にぃちゃん……ねぇ……」
甘えた声で私を呼ぶ弟の方へ体ごと向くと、イヴは仰向けになったままこちらをじっと覗き込んでいた。その瞳は暗闇でも爛々と輝いて見えた。
「どうした、寝付けないのか?」
「うん…。もうちょっと近くで寝てもいい?」
「…構わないよ。」
答えるや否やイヴは私の懐に潜り込み、私達は広いベッドの真ん中に身を寄せ合う形になった。
こうしていると、私達が生まれた日のことが思い出される。アンドロイド達の猛攻から生き延びた私達は、お互い以外に寄る辺もなく、守り合うように身を寄せ合って眠ったのだった。その時のことを懐かしむように、私は短くなったイヴの頭髪を指で弄んだ。
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