交渉藍忘機は困っていた。魏無羨を道侶に迎えるのに兄や叔父は説得出来たのだが、長老たちが頑として首を縦に振らない。それもそうだろう、彼らは夷陵老祖を無上邪尊の悪鬼だと、真実が明らかになった今でも思っていて。しかも14年前には血の不夜天の後奸邪に惑わされたと藍忘機を厳しく罰した過去もあるのだから。
「仕方がないよ藍湛。俺はまた何処にでも行く。天下が俺の家だからな。気ままに夜狩をしながらでも暮らすさ」
「それは私が嫌だ」
こともなげに振る舞う魏無羨が実は深く傷ついているのを知っている。彼は苦しい時ほど笑うが、遊歴から雲深不知処に帰ってきて10日、その笑顔にさえ陰りが見えてきた。藍忘機は焦りから閉関中の兄に相談した。
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