夏が始まる一日降り続いた雨は止むこともなく、天気予報は明日、明後日も傘のマークをクルクルと動かしていた。アパートの入り口に大家さんの孫が作った七夕の笹が飾ってある。願い事が多い年頃なのか短冊が山のようにぶら下がっていたが、俺の部屋には同大量の洗濯物がぶら下がっていた。
そのとても広いとはいえない部屋に集まるのは自転車部男子3人。
待宮の彼女である佳奈ちゃんは「楽しそうだけど、ほんの少し暑苦しい感じするね」と笑顔でいっていた、という報告と実家から届いたというスイカをぶら下げて待宮が初めて家にきた。
ぶら下がった洗濯物を見て「確かにまあ……」と呟く。
待宮だからまだこのくらいで済んでいると思っていい。
荒北が来ればこの3倍くらいの言葉数で罵られることだろう。
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