「おかあさん、いいにおい」
ほにゃんとした声で呟いたのは孫家の次男である悟天だ。
夜、今日は眠気がいつもより早くきたのか、晩御飯もお風呂も終わった悟天がソファで転寝をしていたのをチチが抱き上げたのだ。
チチの首元に顔を埋めるような形の悟天の背中をチチが撫でる。
「そうけ? おっかあもお風呂出たばっかだから、石鹸の匂いがしてるのかもだべな」
「いいにおい~」
「ふふ、悟天ちゃんくすぐったいだべよ」
眠い悟天はいつもよりチチに甘える。すっかり乾いている我が子の髪が首筋をくすぐりチチが笑っていると、彼女の腕から我が子の重みが消えた。
「よし、悟天、ちゃんと部屋で寝ようなー」
「おとうさん」
「寝てていいぞ、運んでやっから」
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