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    さめしば

    @saba6shime

    倉庫兼閲覧用。だいたい冬駿

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    さめしば

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    付き合ってる冬駿のSS
    診断メーカー(https://shindanmaker.com/392860)のお題「かまってほしいなら素直に言え」で書きました。

    ##冬駿

    「まだやってるの、それ。言われた通りジュース持ってきましたけど」
    「んー、そこ置いといて」
     キッチンから戻った冬居がはあと溜め息をつく。不満げな態度を隠さない男を無視して、俺はスマートフォンから視線を外すことなく集中を保ち続けた。このステージのクリアまで、もうひと踏ん張りだ。
    「今どのへんですか」
     すぐ真後ろで、ぎしりと畳の沈む気配。背後に感じる存在が、温度が、ざりざりと音を立てながら確実に近づいてくる。それらを必死に意識から追い出して、画面を注視することに努めようとした。
    「あ、もうちょっとでおしまいだ」
     俺の肩に顎を乗せて冬居がぽそりと呟く。背中にもたれ掛かる重みと体温が、手元をわずかに狂わせた。邪魔すんなバカと文句を吐こうとしたその瞬間、視界の両端からにゅっと腕が現れた。すらりと長い二本の腕に、背後から抱き込まれる。
    「あ」
    「……ゲームオーバー、ですね。コンティニューしないの?」
    「お前なあ! ……構ってほしいなら、素直にそう言え」
    「言ったって聞いてくれないくせに。駿君のあまのじゃく、意地っ張り」
     言い当てられて言葉に詰まる。仕返しとばかりに、半袖から覗く二の腕にかぶりついてやった。白くて滑らかでいかにも柔らかそうな肌は、見た目よりずっと硬くて力強く、明らかに男のそれだった。そこに残した唾液の光る様に、自分自身で煽られるような心地がした。
    「……跡を付けたいなら、もっと強くしないとダメなんじゃないかな。たぶん」
     ——試してみます? 耳のすぐそばで囁かれた言葉と同時に、グラスの氷がカランと音を立てるのを聞いた。口にする頃にはもう、あの氷は溶けてなくなっているのだろう。薄まったジュースののっぺりした味と、この一瞬先に味わう唇の柔らかさを想像して、舌が甘く疼いた。
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    さめしば

    TRAINING付き合ってる冬駿のSS
    お題「黙れバカップルが」で書いた、井浦と山田の話。冬居はこの場に不在です。
    お題をお借りした診断メーカー→ https://shindanmaker.com/392860
    「そういえば俺、小耳に挟んじゃったんだけどさ。付き合ってるらしいじゃん、霞君とお前」
     都内のとあるビル、日本カバディ協会が間借りする一室にて。井浦慶は、ソファに並んで座る隣の男——山田駿に向け、ひとつの質問を投げ掛けた。
    「……ああ? そうだけど。それがどーしたよ、慶」
     山田はいかにも面倒臭そうに顔を歪め、しかし井浦の予想に反して、素直に事実を認めてみせた。
    「へえ。否定しないんだ」
    「してもしゃーねえだろ。こないだお前と会った時に話しちゃったって、冬居に聞いたからな」
     なるほど、とっくに情報共有済みだったか。からかって楽しんでやろうという魂胆でいた井浦は、やや残念に思った。
     二週間ほど前のことだ、選抜時代の元後輩——霞冬居に、外出先でばったり出くわしたのは。霞の様子にどことなく変化を感じ取った井浦は、「霞君、なんか雰囲気変わったね。もしかして彼女でもできた?」と尋ねてみたのだった。井浦にとっては会話の糸口に過ぎず、なにか新しいネタが手に入るなら一石二鳥。その程度の考えで振った一言に返ってきたのは、まさしく号外級のビッグニュースだった。——聞かされた瞬間の俺、たぶん二秒くらい硬直してたよな。あの時は思わず素が出るとこだった、危ない危ない。井浦は当時を思い返し、改めてひやりとした。素直でかわいい後輩の前では良き先輩の顔を貫けるよう、日頃から心掛けているというのに。
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    さめしば

    MOURNING※供養※ 灼カバワンドロワンライのお題「食欲の秋」で書き始めた作品ですが、タイムアップのため不参加とさせていただきました。ヴィハーンと山田が休日にお出掛けする話。⚠️大会後の動向など捏造要素あり
     しゃくっ。くし切りの梨を頬張って、きらきらと目を輝かせる男がひとり。
    「……うん、おいしー! すごくジューシーで甘くって……おれの知ってる梨とはずいぶんちがう!」
     開口一番、ヴィハーンの口から出た言葉はまっすぐな賞賛だった。「そりゃよかった」と一言返してから俺は、皮を剥き終えた丸ごとの梨にかぶりついた。せっかくの機会だ、普段はできない食べ方で楽しませてもらおう。あふれんばかりの果汁が、指の間から滴り落ちる。なるほどこれは、今まで食べたどの梨より美味い。もちろん、「屋外で味わう」という醍醐味も大いに影響しているのだろう。
     ——俺とヴィハーンはふたり、梨狩りに訪れていた。

     長かった夏の大会が幕を閉じ、三年生はみな引退し、そしてヴィハーンは帰国の準備を着々と進めていた十月下旬のある日——「帰る前になにか、日本のおいしいものを食べたい!」ヴィハーンから俺に、突然のリクエストが降って湧いたのだった。
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