Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    カナモリ

    @kanamori_sirahu

    @0gGDVEZe0Fge5ak
    文字を書きます
    🔥🎴を買いますが、閲覧は雑食。地雷は自分で避けます。成人済み

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍑 🍠 🍡 🍙
    POIPOI 22

    カナモリ

    ☆quiet follow

    「不可抗力か運命か」の進捗。
    元の話はこちら→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17363971
    このまますすめるか丸っと書き直すか迷ってモチベ上げるのに短いけど載せてる進捗です。
    🔥🎴の話ですが、過去に❄️くんと何かあったかもと匂わせる表現があります。
    ⚠️匂わせも許さない方は閲覧しないでください。

    不可抗力か運命か 3 見られた。

     煉獄さんの驚いたように見開かれた瞳を見て、冷水を浴びせられたように急激に頭が冷えた。
     炭治郎と息がかかるほどの距離にいる男の顔を見られて、誤魔化しようがないと諦める。

     信じられない、手が早い、幻滅した──……どんな言葉をかけられるだろうと想像すると、足が震えた。
     
     「…炭治郎……」
     呆然とした煉獄さんの声は、怒っているとも呆れているとも判別つかない。
     つづく言葉を聞きたくなくて、俺はぎゅっと目を瞑った。


     ******
     
      煉獄とのお付き合いを初めて2ヶ月半ほど経った。
     新しい年を迎え、新年の挨拶にかこつけて煉獄が炭治郎の家族への挨拶を済ませたり、煉獄の友人である宇髄が炭治郎の店へと訪れるようになったりと着実に2人の繋がりは増えていった。
     生真面目な二人の性格もあったが、煉獄が早く外堀を埋めようという強い意志の元それは行われた。

     炭治郎がもうすぐ発情期になるのを指折り数えて待っている煉獄との、半同棲生活は順風満帆と思われた。

     ――思われたが、ここ最近の炭治郎は、二人の関係について思い悩んでいた。
     
     その元凶である男は、そんなことは意に介さないようで、いつも通りの言葉を炭治郎に投げかけた。

    「杏寿郎は一体お前の何が良かったんだ」

     冷たい視線で炭治郎を見下ろす男は、レジの前に手ぶらで高圧的に言った。
     派手な桃色の髪は一見可愛らしくも見えるが、整った顔立ちと、細く引き締まっているが筋肉質な体躯は威圧感でたっぷりだった。

     「お客様、商品はお決まりですか?」

     笑顔でそう尋ねる炭治郎に、小馬鹿にしたようにフンと鼻で笑うと、レジ前のカゴに入ったラスクを取った。
     
    「350円です」

     スマホを翳して決済をする間も、男の口撃は緩まない。

    「杏寿郎はああ見えて人に気を遣うから、自分からお前に別れを切り出すのは心苦しいんだろう。杏寿郎の負担になっているのがわからないのか?さっさと別れを切り出したらどうなんだ」

    「お待たせしました。いつもお買い上げありがとうございます」

     男は放っておいたらいつまでも喋っていそうだったが、とびきりの笑顔で袋を差し出すと虚をつかれたように押し黙った。
     忌々しそうに袋を受け取ると、荒々しい足取りで店を後にする。

     完全に男の姿が見えなくなると、炭治郎は貼り付けたような営業スマイルを崩し、腹の底に渦巻く怒りごと吐き出すような深いため息を吐いた。

    「お兄ちゃん……大丈夫?」

     バックヤードから顔を覗かせた禰󠄀豆子が心配そうに声をかけてくる。
     男が来ている時は店頭から引っ込んでいるように伝えているが、心配で聞き耳をたてていたんだろう。

    「大丈夫大丈夫、あの人いつも他のお客さんいない時しか来ないし」

     明るくそう返したが、妹の心配はそこではないと気づいていながら敢えて触れなかった。
     煉獄さんに言わなくていいの?と続けたいであろう禰󠄀豆子の表情を見ないようにした。
     家族に心配をかけるわけにはいかないと思いながらも、煉獄になんと相談するべきか炭治郎は考えあぐねていた。

     男が店に訪れるようになったのは一週間ほど前。
     商品もあらかたなくなり客足も引いた夕方、そろそろ店じまいをと思っていた頃に男が店を訪れた。

     鍛えられた身体独特の軸のぶれない足運び、およそ日本人には馴染みにくそうな明るい髪色を違和感なく思わせる整った容姿と威圧感に炭治郎は煉獄に似ていると思った。

     この人もアルファだろうな。

     人を見た目で判断するのは良くないと思いつつ、無意識に浮かんだ言葉を振り払うよう明るい声で炭治郎は挨拶をした。

    「いらっしゃいませ」

     明るくそう言うと、何故か男はパンに目もくれず炭治郎の前へやってきた。

     「 お前が杏寿郎に付き纏っているオメガか」
     「は?」
     「いいか、杏寿郎は強く美しい特別なアルファなんだ。お前のような弱そうで何でもないオメガと釣り合いが取れる相手ではないんだ。わかったらさっさと別れろ」

     そう言うと男は呆気に取られる炭治郎に背を向けてさっさと帰って行った。
     怒りも湧いたが、図星を突かれたとの思いもあった。

     そしてその男はその後も3日と空けずに店を訪れて、いかに煉獄は素晴らしい至高の存在で、その素晴らしい遺伝子にお前のようなオメガの遺伝子を混ぜるわけにはいかないだとか、杏寿郎は俺と高みを目指すんたとかつらつらと語った。

     初対面の時こそ呆気に取られて遅れをとったが、二度目には耐性がつき、「煉獄さんとどのようなご関係ですか?」と問いかけた。
     すると男は、「杏寿郎から俺の事を聞いていないのか」とさも馬鹿にしたように笑った。
     所詮お前はその程度の相手とでも言わんばかりの態度だった。
     
     多分だけど──元彼とか、そういう人だろうなぁ……。

     この男とどういう関係だったかなんて別にどうでもいい。
     お互い大人だし、あれだけの男だ。
     過去になにもないとも思わないし清らかさを求めているわけではない。
     しかし、番い関係を求めるなら過去は綺麗に精算して欲しかったなと炭治郎は思った。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺😍☺😍🙏🙏👏👏💴💴☺🙏🙏🙏☺😍💴😍🙏👏👏👏👏👏😍🙏😍🙏😍🙏😍🙏💴💴😭💖💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works