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    メルズ前沼。

    ユニバのメルズ前に沼った哀れな奴です。
    投稿するのは小説が主。

    リクエストは申し訳ないです、金銭目当てで書いてる訳じゃないので受け付けてません💦

    二次創作物になってるんで、中には地雷を踏む可能性はあります。
    中の人の名前が出る話には鍵掛けてるので、もし読みたい方はDM飛ばしてくれたら送ります!!
    Twitterでは@meruzu_numa_でやってるので、そっちからリクエストどうぞ!!DM飛ばしてくれたら読みます!!

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    メルズ前沼。

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    此方でリクエスト小説、【化け物の夢】は完結です。
    此方の絵をイラストに載せてます。

    #サイバー四号
    cyber4

    【化け物の夢(サイバー四号)】⚠死ネタです。






    化け物の夢(サイバー四号)












    “ お前は此処に居ろ、化物 ”






    そう言われて投げ込まれたのは、私のように親から捨てられた子供達が集う、山奥にある小さな寺子屋だった。



    生まれつき太陽の光に弱く、光に当たれば忽ち皮膚が焼けてしまう病に掛かっている私を両親は「化物」と呼び、他の兄弟達とは違う名前······数字の「4」と呼ばれていた。



    生まれたのが四番目だったから、と言う理由で私をそう呼ぶ私の両親は、私が五歳の時にこの寺子屋へと投げ捨てた。






    「今年も花を添えに来た」






    日光に当たらないよう晴れているのに傘を差す私は、恐らく周りから見れば滑稽に思うだろう。



    だが、生憎と此処は山奥で他に人間など来やしない。






    「今年も此処は積もったな」






    呟く度に出る白い息は、それだけ外が寒いと言うことだ。
    生まれた時から化物だと言われ続け、唯一“ 私 ”と言う存在を受け入れてくれたこの寺子屋は、今はもう無い。
    そっと手向けの花を、焼け落ちた隣にひっそりと佇む墓標に供える。



    事の始まりは、私が此処で10の歳を迎えた時。



    寺子屋で私は、他の幼い兄弟や妹とも呼べる仲間達と勉学に励んでいた。


    その日も私は勉学に励むつもりだったがその日に限って高い熱を出し、少し離れた場所にある私達が寝泊まりする小屋で眠っていた。


    そんな日に、突如寺子屋に乱入して来た賊に私の仲間達は無惨に殺され、小屋に火を放たれた。






    「あの日、お前達は熱さの中で死んだのか?」






    親からでさえ数字で呼ばれ、名前の無かった私に「よっちゃん」と名付けをしてくれたのは、私と同い年ぐらいだった少女。
    誰にでも明るくて良く笑い、下の妹や弟達の面倒を良く見る女の子だった。






    そんな少女も、こんな化物の見た目をしている私を兄と慕ってくれた弟や妹達、私に勉学を教えてくれた先生さえも、賊は全てを奪って行った。






    そして······熱を出し、唯一その場に居なかった私が助かった。



    私だけが、助かってしまった。






    「お前達は、私が生き残っていることを恨みはしないのだろうな」






    お前達は優しかったから。


    私の思っていることを知ったならきっと、優しいお前達は怒るだろう。


    それでも······それでも私は、未だに願い続けている。






    「お前達の居た日々を、忘れたことなど無い」






    遠くで燃えている小屋を見て何度もよろけながら駆け出し、辿り着いた時には既に賊は消えていて、残っていたのは燃え盛る小屋と刀によって無惨に殺された先生と、兄や妹や、幼い弟達。


    先生は子供達を守るように、仲間達は皆折り重なるようにして倒れていた。



    偶々商売の為、通りがかった人が私を炎の中から助け出さなければ私も······。






    「何故」






    私を救った?






    「どうして」






    私だけが、此処に居る?






    「お前達は、優しくて残酷だ」






    こうして生き残った私に、お前達は生きろとでも言うのだろう?


    だから私はどうにかしてお前達の望みを叶えるように、何十年と今の今まで生きている。






    「だが、もう良いだろう?」






    ぽたり、ぽたり······一面に広がる白い世界に、赤が落ちる。



    差していた傘は既に私の手からは離れ、太陽の光に当てられた私の身体は焼けて行く。






    「もう、充分だろう?」






    片手に握った刀を、地面に落とす。


    もう刀を握る力も私には残されていない。






    「お前達を殺した奴等は、私が殺した」






    霞む視界に赤が映る。


    押さえた腹から流れるのは、止まることを知らない私の血。






    ごぽり、と私の口からは血が溢れ、供えられた手向けの花は私の血で汚れないように持って来た。






    「お前達を······救い出せたらと······」






    先生や兄弟達の名が連なる墓標に背中を預けて空を見る。



    はらりと落ちて来たのは雪か、涙か。



    皆の敵は討った。
    ならもう何も後悔は無い。
    私の手は汚れてしまったから、きっとお前達と同じ場所へは行けない。






    「それでも······もう一度だけ············会えたなら······」






    遠くなる意識の中で、私は最後の力で空に手を伸ばしーー············。
































    「!!」






    ぱちり、と少年は目を覚ます。



    何だか今まで暗くて痛くて、冷たい場所に居たような······そんな気がして。









    「······よっちゃんは馬鹿だなぁ」


    「もうこんな所に来ちゃうなんてさ!」


    「······?」


    「でももう大丈夫だよ、ねぇよっちゃん!」






    子供達が笑って少年に手を伸ばす。






    少し離れた場所では、先生が子供達に向かって優しく呼び掛ける声がする。









    「「「「「 一緒に行こう? 」」」」」













    花が咲き乱れる暖かな場所で、化物と呼ばれ続けた少年は、とても嬉しそうに皆に手を引かれて静かに消えて逝ったのだったーー······。

















    その日、山へ山菜を取りに来た男性が山奥に忘れ去られたようにひっそりと佇む墓の前で足を止めた。






    「!!こりゃあ······可哀想になぁ······」






    目を閉じ、墓に背を預けるようにして身体を倒し、頭から雪を被って眠る一人の男性の姿を見付けて慌てて山菜を積んだ籠を下ろして男は駆け寄った。






    「全身火傷に······こりゃあ賊にでもやられちまったか······酷ぇことをするもんだ」






    肩から腹に掛けて深く、斜めに斬られた遺体を見て男は手を合わせる。


    せめてこの仏様が苦しまずにあの世に行けますようにと願い、摘み取った山菜を遺体の前に置いた。






    そして男は立ち上がり、遺体を見て余計な心配だったかと頭を搔いた。















    「この仏さん······何だか幸せそうに笑ってらぁ······」






    きっと誰かが迎えに来たんだろう。






    男はそう結論付けて、家路を急ぐのだったーー······。
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