無題「いらしてたんですね。何があるか分からないので、遠慮して欲しかったです。言っても無駄でしょうから屋敷に来た気配はあっても止めませんでしたが。アレが読めなかったんでしょうか?」
「処置も終わり、特別な治療も不要と聞いている。状態が安定しているのがわかっているから入室した。何か問題が?」
「裸でいらしたら、どう責任取るおつもりでしょう。嫁入り前のお嬢さんですよ」
「そんな疑問が口から出てくる事自体がおかしいと自分で思わないのか。お前がその嫁入り前のお嬢さんなる人間を裸で寝かせておくと、そう言っているのと同義だが」
「時透君もですが、体温が三十九度を超えていたんですよ。その割に発汗もあまりないですし、原因がよく分からないんです。二人とも不思議なほど状態が落ち着いていて、よく眠っているので様子を見ていますが」
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