こつん、と頭に小石が当たってルイは顔を顰めた。振り返った先にはひそひそと笑う騎士見習いの子どもたち。人に対して石を投げるような者の手に握られては、あの木刀も可哀想にと目を細めた。それを挑発と受け取ったのか、彼らは足元の小石を拾い上げるとまたしてもルイへと投げつける。
炎で焼き切ってしまおうか。けれど、そんなことをしては師匠の教えに反する。魔法は誰かを傷つけるためにあるのではない。人々を、笑顔にするためにあるのだ。ではこの状況で、どんな魔法を使えば自分を守れて、あの愚かな子たちを笑顔に出来るというのだろう。考えてもわからなくて、ルイはただ降り注ぐ悪辣な感情を耐え忍んだ。
「──こらぁ!ルイになにしてるっ!!」
4965