これ、どう言う状況？バ、バイヤーすぎるゲンは処理落ちした脳で視界に広がる光景を記憶する。
『これ、夢だよね？もしかして、ドッキリ？』
この石の世界にありえないだろ、ドッキリ。と、突っ込みを入れてみる。
両手を抜けないように頭の上で拘束されて軋むベッドに転がされた。
拘束した本人は彼の息子を咥えて自分の後ろを解してる。

風の妖精は粋なことをするぴたりと風がやんだ。振り返る、先をゆく彼。
ゲンは顔に熱が上がるのを止められなかった。
普段なら、脈拍も心音もコントロール出来るのに。
今、この時だけはダメだった。
普通なら唸る風がかき消すはずの言葉。
伝わらないとたかを括った、その時だけ風がやんだ。
「千空ちゃんのことが好き」

「先着順です。ここで締め切ります」「なにそれ、ドイヒー」ゲンは村の広場に長い行列ができているのに興味を惹かれた。
「何、何、何事？」
傍に寄って並んでいる人たちに声をかける。
「村長のフリーハグだって」
子供たちが嬉しそうにゲンに報告する。
「フリーハグ？千空ちゃんの？」
ゲンも長い列の最後尾につく。
やがて順番が回って来ると。