一方その頃…一方その頃…
落ち着きなくウロウロと歩き回る姿はまるで檻に囚われた猛獣の様だった。
彼は身長も高く体格も良いから騎士団の狭い執務室内を彷徨かれると非常に鬱陶しい。殺気立った様子に新人の騎士は顔色を悪くしているし、室内の雰囲気も悪い。おまけに仕事も進まない。
やれやれ、やはり自分が動くしかないか。深い溜め息を一つ。全く、上司の世話を焼くのも楽ではない。
「閣下、いい加減になさいませ。落ち着きのない。犬でも待てくらい出来ますよ」
「しかし……」
「しかしもへったくれもありますか。レヴォネ卿に言いつけますよ」
すっぱり切り捨てると不承不承といった様子でガーランド団長がやっと自らの椅子に座った。それでも落ち着かずにちらちらと目をやるのは窓の外。
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