梨くんの自慰『君がいいんだ…落ち着くから』
いつもよりも弱っている優しい声色、大人びた彼が自分を求めたその声がずっと脳裏に焼き付いている。
「……………」
耳が熱い、いや耳だけじゃない。顔も身体も熱を持っている。まるで彼の熱が移ったかのようで、酷く胸が寂しく感じた。
いつの間にか自身の下半身は疼いて、膨らんでいる。
「……ふ、ぅ……ッ…」
自室のベッドにしがみついて、恐る恐ると下着の中に手を入れた。
緩く兆したそれはいつもよりも敏感なのか、触れただけで蜜を垂らす。
「ぁ、……ん……ぅ……」
いつもならそういった本などを読んで手早く済ませると言うのに、思い浮かべているのは、自分が明らかに特別視している友人の顔だった。
「………と、わく……」
自分にとって都合の悪い、聞かれたくない質問に何度も『友人』と答えておいて薄情極まりない。罪悪感で潰されてしまいそうなのに、彼のことが頭から離れないのだ。
「ご、ごめ、ごめん、なさッ…う、ぅ……♡」
『…あぁ、やっぱり君、もっと可愛がってあげたくなっちゃう。』
「〜〜〜……ッ……♡♡」
夢の中で言われた言葉がゾクゾクと腰に響く。
気がつけば、震える手で自身の秘部に触れていた。
「………ッッ……♡♡」
すりすりと縁に触れて適度に濡らし、つぷりと指を中に侵入させた。
「ん、……ぅう……♡……う、……♡」
自分でも触ったことない場所に指を這わせてしまい、とても浅い入口を少しずつ出し入れする。
『慣れたらすっごく気持ちいいからね』
夢の中の彼が優しく触れた場所は、火傷しそうな程に熱く、彼の言うとおり気持ちがいい。
「とわ、く……ッ……ぅう………」」
前を扱きながら、夢中になって何度も入口を刺激していき、あっという間に白濁をこぼした。
真っ赤になった顔をベッドに擦り付けて、はぁはぁと荒い息を何とか整える。
自分でも知らない、未知の快感。彼に触れて貰えたら後どのくらい気持ちよくなれるのだろう。
こんなことを思っている時点で、自分の中にある成瀬 叶羽という人はもはや友人という目だけでは見ていない。
好きになってもらいたいという好意を求めているのは自分でも分かっているはずなのに、
『好き』という言葉が口に出せないでいる。
いつまでも臆病な自分が嫌になり、その晩、罪悪感でまた眠れなくなる。