進捗 組織が瓦解し、事後処理も落ち着いてきた頃、降谷は毛利探偵事務所を訪れていた。
「毛利先生こんにちは。今お時間よろしいですか?」
「あぁ、安室君か。問題な――」
新聞から顔を上げた小五郎は、いつもとは違ってグレーのスーツを纏った降谷に目を瞬き、「……まぁ、座れ」と降谷を来客用のソファに座らせ、二人分のお茶を用意して戻ってきた。ピリッとした空気が二人の間に漂ったのは一瞬。安室の時のような笑顔を浮かべて降谷は口火を切った。
「本当は一から説明したいところですが、なにぶんあまり時間がありませんので単刀直入に申し上げます。僕は安室透などという名前ではなく、本名を降谷零と言います。公安警察に所属する者です」
「あぁ、知ってた」
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