二回目 オレはもう死ぬなと思ったのは二度目のことだった。思いがけず助けられ、入院生活をするのも二度目のことだった。以前と違うのは、退院してからも病人のような生活をしなければならないことだった。
関東卍會と二代目東京卍會の抗争の折に、乾は瀕死の重傷を負った。電車が暴走し、さまざまなものをなぎ倒した。その下敷きになったのだ。下半身を押しつぶされ、これは死んだなと思った。だが乾は仲間たちに助け出され、病院に運ばれた。そのあとのことはよく分からない。なにしろ乾が意識を取り戻したのは、半年後のことだった。どうやら乾は数日間生死を彷徨い、奇跡的に助かったということだった。
潰されたと思っていた右足は元通りとはいかないようだが、どうにか歩くことはできる程度には回復した。バイクに乗れなくなったのは残念だが、命が助かっただけでもよしとしなければいけない。そのくらいの重傷を負っていたのだ。
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