潜在ライバル増加危機ベッドに籠城することになる日が来るとは思わなかった。
昔、拗ねた妹がやったことを「もう子供じゃないんだから」と嗜めたことを思い出して、余計に屈辱的になる。
だがそれも含め、一切を気にしていられないほどに、精神状態が混沌としている。
もっと端的に言えば、心がぐちゃぐちゃだ。
この感情はどうやって整理すればいいのだろうか、と考え続けて半日過ぎた頃。
さらなる屈辱を重ねることを甘んじて受け入れ、とある人物に半ば支離滅裂な文面の誘い文句という名のDMを送った。
「例の雑誌でございますか。お断りするつもりでしたが、ヴィクトリア家政の皆が存外に強く勧めるので、引き受けることにしたのです。引き受けた所で、とくに困ることもありませんでしたから」
1963