薄墨を滲ませたような空に、煌々と輝く月がぽっかりと浮かぶ。
聞こえるのは、リンリンと秋の訪れを知らせる虫達の声。
「綺麗だね」
そう隣でビリーが呟く。
「ん?あ、そうだ、今日は十五夜だ、こんなに綺麗な月が見れてラッキーだね」
いつもより強く感じる光の理由に気付いて向き直ると、真っ直ぐにこちらを見つめる、浅い夜の瞳。
「違う、こいとの事」
視線と同じように、真っ直ぐに伝えられる言葉に、一気に顔に熱が集まるのが分かった。それを見てか、元々浮かべていた微笑みを更に柔らかくして、貴方は笑った。
ああ、今は、その全てを曝け出させてしまう程の、その光が恨めしい。